(3) 講演「将来に備えるマイジャーニーマップ」
(一財) 医療経済研究・社会保険福祉協会総務部担当部長 (企画調整担当) 田中康夫氏
- 私は東急不動産の社員として、こま武蔵台に10年前からいろいろかかわりを持たせていただきました。東急不動産退社後に、東京大学高齢社会総合研究機構で。住宅団地の再生検討とALP (アドバンス・ライフ・プランニング) に携わりました。
- ALPはあまり聞きなれないことばですが、「マイジャーニーマップ」を皆でつくりましょうというところから始まりました。これは人生100年時代、あなたはどこで誰とどういう風に生きますかということの人生設計を考えることです。
- 日本は世界的にも長寿国となっておりますが、東京大学高齢社会総合研究機構では長生きが幸せにつながっているのかという研究を行っています。内閣府による年齢別の満足度調査では、40代50代の方が一番低く、年齢を重ねることによって上がってきて、70代で最高となっています。しかしここからが問題で。大体80歳が分岐点となり、満足度がゆるやかに下がる人がいる一方で、一気に落ちてしまう人もいます。今は人生100年時代で定年を迎えた方もその後30年間生きることになります。特にその最後の10〜15年間、80代後半から90代で、生活満足度が2極化しています。分岐点を迎える前に成り行き任せにしてきた人と、備えた人で2極化の差ができると考えられます。
- 転倒や誤嚥といった高齢者の不慮の事故は、自宅もしくは自宅周辺で起きる交通事故より3倍4倍多く、不慮の事故防止の備えで多くの高齢者生活が救えます。認知症についても、孤独が原因になっているということがあります。日本の介護制度は家族介護が前提とされていますので、子供が巣立っていくことなどで家族がいなくなるケースで、高齢者の生活構造組み上げは地域でやるのかということになります。自分だけの問題でなく、家族が要介護になるといったリスクもあり、どう備えていくかということです。
- 現在、いくつかサポートの仕組みがありますが、それにも限界があります。現在認知症の方は約500万人おられますが、財産管理などサポートする成年後見人制度の利用者は約25万人程度で、圧倒的にバランスがとれていません。老人ホーム入所には身元引受する人が必要になりますが、家族がなれないと、身元引受を行う会社が行います。この手の会社はとても増えているのですが、これは残念ながら監督する所管官公庁が未だ無く、ガイドラインはできていますが、サービスの範囲だとか費用だとか不明確ですし、会社運営が不安定といった問題があります。
- どこが相談窓口になるかということもあります。金融機関や住宅についてリフォーム会社などが対応していますが、1つ1つが縦割りです。今我々は総合的に相談できるプロを、民間の仕組みとしてつくろうと考えています。そのベースが「マイジャーニーマップ」です。「マイジャーニーマップ」で100歳までの暮らしや健康や資産などに関わるライフイベントと、ライフイベントをどのように迎えたいかを表します。どういう人生を歩きたいかを表してくださることで、我々はサポートすることができます。定年後の30年をどう生きたいかをしっかりと自分の中に持っていっていらっしゃる方は非常に少ない。高齢期のウェル・ビーングを最高値にあげていくマップをつくり、そこで悩み事があればALPアドバイザーが相談窓口になって、色々なところにつなげていきます。我々はそのALPアドバイザーの資格づくりに取組んでいます。