講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


8.コロニーガーデンの利用類型2“キャンプ生活”タイプ

居住設備として水と電気くらいしかない小屋でも、夏の間そこへ生活拠点を移して利用する人々はいます。このような利用は主にコペンハーゲン市中心部で見られ、まるで都市の中でキャンプ生活をしているようでもあります。

ヴェネルスト(Vennelyst)はコペンハーゲンで最も古いコロニーガーデンで、1892年に設立されました。旧市街の縁に位置し、かつてはゴミ捨て場に利用されていたところです。現在では市街地の中心となり、国会議事堂から直線距離で約2Kmという立地の良さと、利用者たちが長年愛情を持って手作りしてきた小さなガーデンハウスの独特のピクチャレスクな景観が特徴です。中でも1902年に建てられた「パン焼き職人の家」と呼ばれる小屋は、デンマークのコロニーガーデン運動の象徴として保存されています(fig.8)。



<fig.8>

私が見せてもらった区画には退職した62歳の夫婦が夏の間滞在していました。区画は50m2、小屋は12m2と小さく、設備としては水と電気しかありません(fig.9 1:キッチン, 2:ソファベッド, 3:増築予定部分)。トイレとシャワーはガーデン協会「ヴェネルスト」共有のものを利用します。また敷地内には広場があり、手作りの劇場(fig.10)や、アイスクリームやビールなどを買うことのできる雑貨店(fig.11)もあります。


<fig.9>


<fig.10>


<fig.11>

土地がゴミ捨て場として利用されていたことから野菜作りを行うことはできませんが、庭中で花が育てられています。また、夫婦はこの小屋を手に入れてから、自分たちで外側のペンキを塗り直し、内装をやり直しました。現在も新しい寝室を増築中ですが、庭先で作業を行っています(fig.12)。



<fig.10>




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