講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


4.コロニーガーデン概要

2000年の調査によると、デンマーク全体でコロニーガーデンは62,150戸あり、1,019のガーデン協会に属しています。ひとつの敷地内に複数の利用者区画が隣接して存在することはコロニーガーデンの定義の一部でもありますが、区画数は数戸から数百戸まで様々なものがあります(fig.1,2)。


<fig.01>


<fig.02>

このまとまりごとに利用者によるガーデン協会が形成され、自治的な運営が行われています。各区画の広さも15m2程の小さなものから、400m2を超える大きなものまで様々です。コロニーガーデンには原則的に小屋を建てることができますが、小屋に宿泊することができる「オーバーナイトガーデン」と昼間の利用のみが許される「デイガーデン」があり、2000年に行われた統計によるとオーバーナイトガーデンはデンマーク全体のコロニーガーデンの67%を占めます。また、コロニーガーデンの所有形態にはいくつかのタイプがあります。小屋を建てることができる場所では小屋は利用者が所有していますが、土地は自治体や政府、またはガーデン協会自身によって共同所有されています。コロニーガーデンの利用者が変わる場合には、小屋についてのみ売買が行われます。ガーデン協会自身によって所有されているコロニーガーデンに建つ小屋は、自治体や政府所有の土地に建つ小屋よりも高い値段で取引される傾向にありますが、これは過去に自治体所有の土地の用途がしばしばコロニーガーデンから集合住宅などに変更されたのに対し、ガーデン協会によって共同所有されているものは存続が安定的であったこと、また行政機関はコロニーガーデンを福祉の一環として捉えており、利用料を安く抑える代わりに、誰にでもコロニーガーデンが利用できるよう、売買価格に一定の規制を設けていることが原因です。

現在では、2001年に制定されたコロニーガーデン法によって、コロニーガーデンは利用者の都市生活を補完する庭としてはもちろん、それ以外の市民にとっても散歩などで訪れることのできる緑地として保存されることが決定しています。



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