講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.食を介した家族のコミュニケーション

 6.質疑応答1:料理作りを見せること、共に料理をすること
鈴木:  最後の事例ですが、キッチンは別にあるのですよね。普段は囲炉裏にふたをされているのでしょうか?
横江:  下ごしらえはキッチンでやって、鍋を火にかけるところから囲炉裏でやります。
ふたを準備してはいたのですが、使ってはいません。週末ごとに鍋をやっているので家族にとっては鍋専用部屋のようになっています。お客様も頻繁に囲炉裏に招待されているようです。家の中に火を置きたいという願望があって、暖炉と迷われた末に囲炉裏に決められました。
松村:  今日の紹介事例はダイワハウスの住宅と思いますが、前半はアイランド型キッチンの使われ方でしたね。調査対象はどの様に選んだのですか?
横江:  この調査は「食家事とすまい」をテーマとして行ったもので、食空間に意識の高いお客様を全国から選びました。必ずしもアイランド型キッチンを設置されたお客様を選んだわけではありません。
鈴木:  子供の家事参加については、調査時点から意識して調べられたのですか?
横江:  そうですね。最初から考えていました。やはり、キッチンが家族の集まる場であって欲しいと思っていまして、それを実現するにはどうしたらいいかという視点で調査を進めました。
松島:  小学生くらいまでに料理をさせたり、あるいは父親の料理姿を見せることが重要のようですね。みんながやるのが当たり前という家庭環境になりますから。
松村:  やはり食事は重要ですね。僕は食べる方が専門ですが(笑い)。でも、料理をすると食べること自体がおざなりになるということはありませんか?食べることによって団欒することとうまくバランスするものなのでしょうか?
横江:  一緒に作ると同じ仕事を共有することになりますから、コミュニケーションが盛んになります。食べる人と作る人が分かれていては、思いが共有できないですね。
松村:  そのように家族のみんなが料理に参加するようになると、作るものがどんどん高度になっていくということはないのでしょうか?例えば、何か作ることを趣味にしていると腕が上がるし、どんどん新しいもの作っていくことになる。しかし、子供が参加したり、男女が50%ずつやったりしても、料理の質は上がっていかないようなイメージがあるのですが…。
横江:  趣味の場合は確かにそうでしょうけれども、日常的な食事作りとは分けて考えた方が良いと考えます。日常的な食事作りはおそらく今後簡略化されていくのではないでしょうか。平日と休日とでも大きく異なりますので、両者は分けて調査をしていかなければならないと思います。



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