講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.食を介した家族のコミュニケーション


 0.プロフィール


【横江 麻実】
1971年生まれ。
1994年日本女子大学住居学科卒業、
同年大和ハウス工業株式会社入社。

一級建築士。消費生活アドバイザー。
家事や子育て、共働きといった生活調査を実施し、女性の視点による新商品開発に向けての提案を実施している。
現在、総合技術研究所 生活ソフト研究室 主任。
横江さん



 1.はじめに

食を介した家族のコミュニケーションという観点から戸建住宅における食空間の使われ方についてお話をしたいと思います。

食空間の物理的側面としては、キッチンブースやダイニング周りのあり方が挙げられますが、住環境はこれだけで成り立つわけではありません。両親や祖父母などとの対人的側面があります。また、生活習慣や地域性といった社会文化的側面からも影響を受けます。私どもは住宅メーカーですので物理的側面に関わっているわけですが、後者の二つの側面も交えながら食空間で行われている子供とのコミュニケーションについてお話ししたいと思います。



料理研究家の坂本廣子さんという方がいらっしゃるのですが、「1歳から包丁を」というテーマでいろいろなところで講演をされています。非常にセンセーショナルな言葉ではありますが、小さな時期から台所に入ることによって、子供に生きる力が身に付くという趣旨です。実際、子供が参加しやすいキッチンをメーカー各社も提案しています。

ただし、私どもとしては、やはり子供さんの発達段階を踏まえたものでなければならないと考えております。例えば、ハイハイができるようになる8、9ヶ月(参考値)の赤ちゃんの場合は、家庭内事故の防止が最優先となります。その後の、大人の模倣をしたくなる時期、これは駄目っていう言葉を理解できるようになる時期でもありますが、こうした時期を迎えてからスムーズに子供が参加できるような空間が求められるのではないかと考えています。



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