講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.食を介した家族のコミュニケーション


 2.子供が家事に興味を示す時期

最初の事例は兵庫県にお住まいの家族です。家族構成は旦那様が公務員、奥様が育児休暇中の保母さんで、8ヶ月の長男がいます。お母さんが保育士でいらっしゃることもありまして、離乳食は手作りで様々な工夫をされていました。

食空間への思いから、キッチンの真ん中に可動のアイランドカウンターを設置されています。いろいろ動かしたいので、というお話を頂いてこうなりましたが、実際に入居されてからは1回しか動かしていないそうです。お母さんの顔が見えないと泣いてしまうため、キッチンへ連れてきて椅子に載せておいてご飯を作っているそうですが、その椅子のスペースを作るために少し動かしたというだけだとのことでした。子供のキッチン参加という点ではまだ早いようですが、8畳分の広いキッチンを作ったということで、子育ても食関係も非常にスムーズになったという事例です。



次は大阪府の事例です。夫婦とも市役所に勤められていまして、奥様は妊娠5ヶ月、長男が2歳5ヶ月です。子供さんへの思いとしては、衣食住にまつわる家事は自分でできるように育てたいとのことです。夫婦共働きですので、お母さんの帰宅後に子供が手伝ってくれるという状況をイメージしているようです。

旦那さんもかなり家事に参加しています。家事をフィフティーフィフティーで分担することを意識されていまして、家事をみんなでこなして子供が自室にこもらないような工夫を考えていきたいとのことです。家事が我が家のコミュニケーション手段です、ともおっしゃっていました。現在は奥さんが妊娠中なので家事の7割くらいは旦那さんがやっているとのことです。アイロン掛けなどは旦那さんがやり、奥様の担当は食事づくりといったところです。最近お母さんがご飯を作っていると、2歳半のお子さんが身を乗り出して見るようになったので、少し家事をさせてみたりしているようです。キッチンの真ん中のベビーゲートは、そろそろ子どもが自由にキッチンに入れるように外そうかと考えているところです。

2歳半から3歳という時期は子供の成長の節目の一つにあたり、大人の模倣を始めますし、「駄目!」という言葉が理解できるようにもなります。便意尿意を自己申告できる時期でもあります。子どもの家事参加意識の高い人のヒアリング結果を踏まえますと、この時期は子どもに家事参加をスタートさせるタイミングのひとつではないかと思います。



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