講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.食を介した家族のコミュニケーション


 3.アイランドカウンター周りで起きること

三番目は京都府にお住まいの事例です。お父さんが自営業、お母さんは専業主婦、私立小学校のお子さん2人という家族構成です。お子さんは朝六時半に家を出て、片道1時間半かけて通学しているため、お母さんは週4回毎朝5時に起きてお弁当を作っています。上の子が入学したときは、冷凍食品を扱わないようにしようと心がけていたそうですが、下のお子さんが入学した後は非常に忙しく、冷凍食品を週1回は利用するようになったとのことです。そのことに忸怩たる思いがあるようで、手作りがベストだけれど冷凍食品を使わざるを得ない、ということを強調されていました。

月1回子供の学校近くの料理教室にも通っていまして、料理には熱心な方でした。キッチンにはペニンシュラカウンターを設置されていまして、子供たちのお弁当を作るのにとても重宝しているとのことです。お子さん達は起床から家を出るまでに30分しかないため、毎朝、ペニンシュラカウンターでおにぎりを立ち食いしているとおっしゃられたことが非常に印象深い点でした。私などは座って食べるようにと言われて育ったので新鮮でしたね。他のお宅に伺ったときも、旦那さんが立ったままパンを食べて出かけるという話を耳にしましたので、日常的な立食がどの程度されているのかは興味深いところです。



これは大分県の事例です。旦那様が会社員、奥様が専業主婦、お子さんは2人です。お母様はアメリカへの留学経験があります。お子さんは幼稚園へ通える時期になっていますが、このお宅では幼稚園に通わせないで、お母様の教育方針で育てています。私がお手伝いの状況を聞いたところ、「我が家ではお手伝いとは言いません。子供のことは子供がやるというのが子育ての方針なのですよ」という話をされていました。

未就学児の子供たちは昼過ぎまではお母さんと一緒に過ごし、午後は幼稚園から帰ってくる他のお子さんと遊ばせて、昼食と夕食は3人で作るという話をされていました。カウンターの高さが85cmで子供にとっては若干高いということもあって、踏み台を準備されているとのことです。

あと、この家で面白かったのが、子供自身の道具を1セットずつ用意して、手の届く位置で自己管理させている点です。いわゆる「食育」を普段の生活で実践されていました。もちろん、子供たちが主体的に取り組むことが前提になっていて、例えば、中華鍋を使ってみたいと子供が言ってきた場合には中華料理にチャレンジしているのだそうです。



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