居住体験を語り合うことの面白さ
すまいとライフスタイルとの関係に思いを巡らそうとする時、はたと自分の体験不足に気付かされる。サザエさんなんかを観ていると、しょっちゅうお客さんがやってくるし、同じように人の家に出向くこともしばしばのようであるが、私の個人的な経験では、いい大人になってからは、人の家に招かれることはまれだし、自分の家に人が上がりこむ機会もそうはない。だから、すまいとライフスタイルにどんな関係のあり方があるかについての具体的な想像力が欠如しがちだ。
ただ、日本ではそうなのだが、仕事柄、海外で人の家にお呼ばれするチャンスはまあまあある。日本人のお宅をすっ飛ばしていきなり海外のすまいとライフスタイルの関係を目の当たりにする訳だが、これがなかなか面白い。ヘエーとかワオーとかいう声が出ることもしばしばだ。
今回はそうした体験に近いものを広く共有できないかと思い、各国からの留学生に集まってもらい、日本での居住体験について語ってもらった。やはり、私たちが思ってもいないようなことに感心したり、不便を感じたりしている。そこから何かを学び取れろうと思うと肩がこるが、こうして互いの居住体験を言葉にして話し合うこと自体は楽しいし、大いに意味があると思う。
(松村秀一)
|