講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.大阪編


1.自己紹介
鈴木 今日は、大阪で留学生活を送っている、あるいは送ったことのある方々から話を伺います。東京の座談会ではハード面の話が多かったようです。そこで、今回は住宅そのものというよりは生活に関係する話題を中心にしたいと思います。大別すると内容は2つになると考えていまして、一つは日本の住宅の空間と生活の関係についてです。もう一つは社会関係が生活に与える影響です。例えば、お客さんを家に招く時のことやコミュニティと自分の生活との関係ですね。そして、時間が許せば三つ目として、住宅を支えるもの−公園やカフェ、あるいはそれらの使い方など−について話題にできればと思っています。では、まず簡単な自己紹介と日本の住宅について少しコメントして下さい。
私は中国の武漢の出身です。日本では市営住宅などに住んだことあります。今は2DKの府営住宅に住んでいます。中国の住宅は部屋が全て洋室ですから、日本に来た時は狭い和室に慣れなくて、非常に不便だと感じました。それから6年間くらい住んでいるので、だんだん和室も好きになりましたが…。それと、今は子供がいるので、かえって畳の上の方がいいと思うこともあります。転んだりしても、洋室より心配が少ないですから。
私は中国の上海から日本に来ました。中国にいる時もよく引っ越しましたが、日本にきてからも色々なところに住みました。そのせいでしょうか、住むところに対して高い要求はなくて、お風呂など最低限の生活施設さえあればいいと思うようになりました。
張さん 李さん
私は韓国の出身で、国では家族と2階建ての家に住んでいました。日本に来て、最初は大阪府立留学生会館に住んでいました。今は先輩と2階建て長屋をルームシェアしていて、私が2階を使っています。日本の住宅は、個人的なプライバシーがほとんどなくて、お互いの生活をじゃましているのではないかと思います。例えば、今住んでいる家では、私がトイレに行く時には先輩が使っている1階の部屋を通過しなければなりません。
ソムチット 私はラオスからやって来ました。ラオスではマンションなどに住んだことはなくて、一戸建ての住宅に住んでいました。そこでは妻の親などと三家族が一緒に住んでいました。日本に来てからは四ヶ所くらい引っ越しをしました。日本人の友達の家にもよく遊びに行きましたが、日本の住宅については二つの感想があります。まず、狭いということですね。もっとも、今は狭くても必要なものさえあればいいと思うこともありますが…。また、日本の住宅は外から見るとプライバシーは高いのですが、中に入るとそんなことはないということです。
尹さん ソムチットさん
私は中国の大連から来ました。大連ではほとんどの人が集合住宅に住んでいて、私もそうでした。来日後は、姉の家、府立会館、賃貸のハイツなどに移り住んで、最近になって箕面にある2LDKの市営住宅に入居しました。私も日本の住宅について二つの特徴があると考えています。一つ目は日本の壁は薄いということです。断熱も問題ですが、隣部屋の音声が聞こえるのは大きな問題ですね。二つ目は日本の住宅のバルコニーです。大きくて開放式廊下みたいで、これはとても良いと思います。
タレル 私はモロッコ生まれですが、チュニジアにも長い間生活していました。モロッコとチュニジアに居る時はヨーロッパ式のマンションに住んでいました。日本に来てからは引っ越しを三回していまして、今は二人の友達とルームシェア中です。日本の住宅の印象ですが…、日本の家は寝るところだということですね。利用時間は夜12時から朝7時までの間だけじゃないですか?また、住人同士の音が互いに聞こえるなどプライバシーの問題もかなり気になります。それから階段の勾配はモロッコより急で、最初はなかなか慣れませんでした。
呂さん タレルさん



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