郊外住宅地再生フォーラム2022
暮らしを豊かにするプロジェクトデザインとマネジメント

(6) 各報告に対する質疑・応答

質問:本日ご紹介いただいたそれぞれの取組み事例において、自治体はどのような位置付けと対応をしておられますか。各自治体において各地区は先進モデルなのでしょうか。
瓜坂氏:上郷ネオポリスでは、弊社と横浜市との協定を締結しました。横浜市は郊外住宅団地を最も多く抱えている自治体であり、上郷ネオポリスでの取組みについて市と情報共有していますし、他の団地において参考になると考えています。横浜市から様々なサジェッションなど、ご協力をいただいています。
山根氏:こま武蔵台では、日高市から情報発信に関して協力いただいています。自治体が特定の団地で活動を推進することにはハードルがあると考えられますが、徐々に協力関係がつくられていると感じています。
後藤特任講師 (東京大学):こま武蔵台に関して、日高市と東京大学の間で、連携関係をつくる調整を進めているところです。
李助教:めじろ台では、市条例にもとづく協議会として、市から様々なサポートを受けることができます。めじろ台の活動においてオブザーバーとして参加いただいていますし、まちづくりアドバイザーの確保もお願いしています。
質問:郊外住宅地で活動を継続する上での資金はどうしておられますか。
瓜坂氏:野七里テラスは弊社が出資しました。これからについてですが、一般社団法人設立によるスタートを考えており、弊社も寄り添ってサポートさせていただきます。住民の方々はこれまで無償でまちづくりに取り組んでこられました。今後は住民の活動への対価を確保していくことが必要と考えられますが、そのもとになるものは各企業と考えています。住民のニーズに企業がシーズで応えるとよく言われますが、実は企業のニーズとして、住民の生の声というシーズが必要です。弊社は住宅会社ですので、建築や不動産事業に関する情報を住民からいただければ、中間手数料として住民に対価をお支払いすることも考えられます。
山根氏:リノベーションやコワーキングプレイスのハード面について弊社で協力させていますが、住民の皆様のボランタリーな部分に依存して成り立っている面があります。継続的な活動とするために、クローズアップしなければならない課題と考えています。
李助教:持続的な活動において、資金面の安定がとても大事です。まちづくりの最初の段階では、色々な事業に応募して資金確保していましたが、それだけでは持続的な活動にはなりません。コミュニティビジネス を立ち上げて収益を確保することが、これからのまちづくりの課題になると考えています。
質問:上郷ネオポリスに関して、元気な高齢者がまちづくりの核になるというお話でしたが、急激な高齢化が進んでいるというお話もうかがいました。次の世代のまちづくり担い手確保のために工夫されていることはありますか。
瓜坂氏:子ども会などを通じた、若い世代のまちづくり参加が見られますが、やはりお仕事をされている方々で、高齢者ほど時間を割けないという面があります。高齢者と一口にいっても、今は後期高齢者になっても元気な方々がおられます。元気な高齢者が、若年層と後期高齢者をつなげていく時代になったと考えています。