(5) 東京都八王子市 めじろ台の取組み (東京大学 李助教)
1) これまでの取組み
- めじろ台は新宿から電車で約40分に位置し、1967年に分譲開始された主に戸建てによる住宅地です。現在は約8,200人、約3,900世帯が居住し、高齢化率は約40%です。
- この3年間で進めてきた、めじろ台のまちづくりについてご説明しますと、1年目 (2019年) は基礎調査 (アンケート、ヒアリング調査) とセミナー・勉強会・WSを通じて住民意向を把握しました。多様なステークホルダーとの関係づくりは現在も続いています。2年目 (2020年) はコロナ禍の中でのオンラインでの取組みになりましたが、まちづくり憲章を作成しました。3年目 (2021年) は住民意向をもとに、まちづくり憲章をさらに詳細にした、まちづくりの基本方針を作成しました。
- まちづくりの基本方針はつぎの7項目で構成されています。
- 1.
- 私たちが考えるめじろ台のまちづくり〜まちづくり憲章
- 2.
- みんなが集まる街の拠点づくり〜コミュニティセンターと広場、商店街、各地域の拠点
- 3.
- 降りたくなる魅力的な駅前づくり〜駅前広場、交差点、
- 4.
- 多世代が交流する場づくり〜まちなかベンチ、居場所、シニアの元気、大学交流
- 5.
- 空地・空家を活用したにぎわいづくり〜資源図、モデルプロジェクト
- 6.
- 美しく、住み続けられる住宅地づくり〜街並みルール、住まいの住み替え誘導
- 7.
- めじろ台の今を発信する〜ホームページ、SNS、まちのマップ
2) 現在進めているプロジェクト
- めじろ台Café (基本方針 2. みんなが集まる街の拠点づくり):商店街の活気が失われつつある中で、駅前商店街の空き店舗を活用した住民のコミュニティスペースとして、Café、ブックストア、住民作品展示機能を揃えた空間を計画しています。空き店舗を紹介していただく中での場所探し、使い方・平面計画、運営体制などを検討中です。
- 駅前整備計画 (3. 降りたくなる魅力的な駅前づくり):住んでいる方だけではなく、訪れる方が楽しめる、駅に降りたくなる駅前をつくるプロジェクトです。駅前花壇の充実や憩いの場作り (ベンチ)、地元の造園屋さんとの改善イメージ作成、駅前全体緑化イメージやシンボルづくりを進めます。資金確保、管理仕組み等を検討しています。
- みんなのイスPJ (4.多世代が交流する場づくり):空いているスペースを活用して椅子・ベンチを設置するプロジェクトです。もともと個人の方が家の前に休めるベンチを設置され、これをまちに広げていこうと始まったプロジェクトです。現在7カ所設置され、高齢者の外出促進や、子育て中の母親が子どもを座らせて水を飲む休憩などに使われる効果が期待されます。
3) 成果・到達点と課題
- ①
- まちづくり協議会を立ち上げ、八王子市の「地区まちづくり推進条例」に基づく協議会に位置づけられたことで、活動費やアドバイザー派遣など、市からの支援を受けることができるようになりました。
- ②
- コロナ禍において高齢者を中心とした地域住民が、ZOOMを通じて、まちづくり憲章策定と、まちづくり基本方針策定を成し遂げました。
- ③
- いくつかの分科会に分かれて、めじろ台CaféやみんなのイスPJといった、住民主体の活動に着手することができました。
- 課題としては、めじろ台会館の通信機能などafterコロナや次の世代の利用を考えてヴァージョンアップすること、 賃貸やシェアハウスなど若年世帯が住める様々な住宅の供給、それぞれのまちづくりPJ活動が持続する仕組みづくりが考えられます。