郊外未来デザインに迫る:俯瞰と仰望

(2) 郊外再生の取り組みと課題

1) 研究対象地区の概要

fig1
 研究対象地区は、新百合ヶ丘が少し異なりますが、東京都心から片道1時間半程度の立地で、人口減少が進み、高齢化は2015年時点でおよそ50%まで進んでいます。用途地域は、新百合ヶ丘の駅周辺で商業地域や近隣商業地域が指定されていますが、主に一低専です。

2) こま武蔵台 (日高市)

 池袋駅から70から75分の丘陵地で、研究対象の4地区の中でも特に坂のきついところです。主に一低専が指定され、さらに地区計画が、戸建て住宅地区、戸建・集合住宅地区、店舗併用住宅地区、生活拠点施設地区、公共公益施設地区と、細やかに設定されています。
 生活拠点施設地区 (センター) は第一種中高層住居専用地域に指定され、ショッピングセンターがつくられています。こま武蔵台の開発当初は生鮮食品など日常的買い物になんでも揃うところでしたが、小売業が撤退し、空き店舗化が進んでいます。近年、ローソンが出店し、近隣の方が便利に利用されているとうかがっています。 fig2
 上図は、現在我々が取り組んでいるまちづくりの体制図です。住民の方々を中心に、大学や国交省 (国総研)、(株)東急不動産R&Dセンター様などがサポートしています。この体制で多世代交流・子供の居場所づくり・空き家対策・定住移住促進の実証・実験が進められています。大学は空き家リノベーション、コワーキング、まちづくり勉強会などに関わっています。空き家リノベーションとコワーキングは、大学の演習をきっかけに学生たちが提案したものが、M東急不動産様R&Dセンターの出資で実現したものです。コワーキングスペースはセンター内の空き店舗を改修してつくられた働く場です。また、センター内広場について、当初開発されたものをさらに使い勝手のよいものにするため、学生の提案をもとに地元と意見交換する機会をつくりました。地元の皆さんが進めるまちづくり勉強会に、我々がサポートする形で参加し、郊外住宅地に関する話題提供をいただきながら、一緒に勉強しております。
 国総研はグリーンスローモビリティ (時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した移動サービス) の実証実験を行っています。