持続可能社会実現のための住生活関連新産業とは


参加者:既存住宅流通について、一般社団法人優良ストック住宅推進協議会では10社のハウスメーカーが長年取組んでまいりました。これをより幅広い流れにしていけないかなと考えております。耐用年数についてですが、例えば住宅ローンにおける考え方や減価償却での考え方などが分かれており、日本の流通市場の中でそれぞれが定着してしまっているということが大きな弊害になっているかなと考えております。そのために、住宅履歴の有るものも無いものも、築年数だけで評価されるという形になってしまっていると考えられます。このあたりを払拭するやり方は、どう考えたらよいのでしょうか。
野城先生:情報があふれている中で、皆さまの取組みが一般の方々に染み込んでいくことは、簡単ではないと思います。例えば今、新築マンションを1億円で買おうとすると、夫婦の年収を考えると30年から40年のローンを組むことになります。さらに、ローンが払えなくなったからマンションを売却しようとしても、マンションの売値よりもローン残高が高くなってしまうとどうしようという不安があると思います。そういうことに関心を持っている人に対して、住宅ローンを払っている間にどのくらいのリスクを背負って、どのくらいが確実にできているかが分かるような、翻訳者の立ち位置でお話できるプレイヤーが必要だと考えられます。ハウスメーカー自身で行うか、第三者が行うのかといった戦略はあると思いますが、住まい手目線から見た場合の人生設計上の重大な問題について、どういう未来になるかを翻訳できるようなプレイヤーを置いていくことが大事だと思います。
参加者:弊社ではAIについての勉強会を昨日行いました。大量のデータで分析して、確率論でこういうことを進めるということは、AIの世界になってくる部分もあると思います。AIとの今後の付き合い方について、先生がお考えになっていることがあれば教えてください。
野城先生:とても大事な課題です。本日お話した事例はオープンAIではなくて、AIの中でも少し前につくられた機械学習によるもので、入力データに応じてだんだんと擦り合わせていくような分析を行うものです。AIの利用はこれから進んでいくし、ハウスメーカー各社がAI利用の力を貯めていく必要があるかなと思います。顧客に住宅を引き渡した後のクレームは受け付けないような態度ではなく、もし可能ならば住宅がどのような温湿環境になっているかといったデータを取らせていただくことが、機械学習における大事な知的リソースをいただくことになります。オープンAIについては、皆さまが考えておられたことについて、AIに相談したら全く違う側面のことを言われたといった発見を得られることがあります。言語系のオープンAIは機械学習とは全く異なり、新たな発想を得るためのアイデアソースとして使うことが考えられます。AIと一口に言うのではなくて、それぞれの特性を生かしながら、各社各社で使っていくといいのかなと考えております。
住団連事務局:住団連がこれから異業種と連携していくためには、どのような分野との連携を進めていくことが重要と考えられますか。
野城先生:ロボット産業や家電産業からすると、ハウスメーカーの皆さまがお客様の代理になっています。このポジションはぜひ利用された方がいいと思います。お年を召した方がずっと家に住んでいくために必要なことに対して、これまでの先入観からフラットになって、どのようなサービスがあるとよいのかを考えることだと思います。それは従来の住宅産業を超えるかもしれないけれども、食べるためのサービスを受けるために、どういうデバイスが必要かという発想をしていくと、住める相手が決まってきます。今お住まいの方々にとり何が揃っていけばその住宅に暮らしていけるか、あるいは今の働き方や暮らし方に適応していけるかということを考えると、それはこういうサービスでそのベンダーはこういうところとか、あるいはロボットだよねといったことが見えてくると思います。皆さまが住まい手の代理人としてのポジションから発想して、様々な業種を引っ張ってくるやり方によって、ストック市場やサービス市場の主要な部分を占める位置づけになると考えられます。
以上