(5) 「絵に描いた餅」に ならないためには ローカル・インテギュレーターが重要
1) ローカル・インテギュレーターの必要性
- これまで申し上げたように、住まいの中に異種産業・多種企業の製品が同居し、結びついて働くためには、その場で住まい手に適した統合的機能調整を行うアプリケーションによる、ローカル・インテギュレーターが必要です。
- ローカル・インテギュレーターの事例としては、例えば理想的な大学教育棟が考えられます。ここでは冷温水温度センサー、人感センサー、電力量計測、照度計・日照計、CO2濃度センサー、外気・室内温湿度センサーなどが情報を、WEBコントローラーにインターネット上の汎用プロトコルに変換して送信します。そして解析・制御アプリケーションが制御指令を発信し、WEBコントローラーが各機器のプロトコルに変換して送信します。これにより、ルーバー付きダブルスキン外周壁や地下中熱・地下水利用ヒートポンプ空調、放射パネル使用冷暖房システム、自然換気システム、LED照明システム、雨水利用の散水などが最適に動きます。
- ローカル・インテギュレーターは、日本の住宅産業が非常に得意としているところではないかと考えています。
2) 空間情報とインターオペレイタビリティ
- ローカル・インテギュレーターには、空間情報とインターオペレイタビリティが必要です。
- これまでの建築設計は、良い人工物のための設計情報をつくるものでした。これからは、エネルギー・室内環境モニタリングのように、人工物から情報を建築設計に送り、設計情報を改良して、人工物改良につなげるという情報転写が進められます。
- 情報転写によって、どの様な住宅部品がつくられ、どの空間にどの住宅部品が配置され、どの様な環境で機能を 引き出しているか、ユーザーはどの様に機能を引き出しているか(頻度・条件)といった情報がメーカーに送られ、住宅部品が改良されます。そしてユーザーとメーカーの双方向性インターフェイスによる住宅履歴書がつくられます。
- その場での情報がばらばらにならないためには、BIM (建物情報モデル) と地理情報の連携による、空間情報が不可欠です。異種産業・多種企業の製品が同居すると、それぞれの通信プロトコルは異なっていますが、それを汎用プロトコルに転換して統合運用するためには、空間情報となります。
- そして、プロトコルの相違を超えて、汎用プロトコルに転換して統合制御するための、インターオペレイタビリティが不可欠となります。
(6) 結びに
- 技術者はモノのファンクションに注意を向ける傾向があります。 例えばスマホの通信速度や記憶量はファンクションです。しかしスマホがサービス端末になっているという、我々にとっての本質的な意味を考えた、双方向性インターフェイスによるスマホ設計をアップルさんなどは行っています。
- 住宅内には様々な技術のシーズがありますが、それを顧客のためにまとめげることがハウスメーカーの皆さまの競争力になり、それはこれまでの企業文化として培ってこられたと思います。ハウスメーカーにはとても優秀な営業の方々がおられ、顧客からいただいたヒントを設計に活かしていくということはこれまでも行っておられました。これからはさらに、サービス・プロバイダーへの転換に取組んでいただければと思います。
- 需要者との双方向性のやりとりにおいて、住生活のサステナビリティと新たな生活価値の実現する、需要者の代理人というポジションから、ストック市場での規模の経済の制約を乗り越える、サービス・プロバイダーとしての取組みを進めていただければと考えております。