3) インフィル・レンタルサービス
- 居住者ニーズへの建物の適合性には、経時による、ニーズの変化や建物内外の環境変化、居住者変化に伴う不適合化や居心地悪化のリスクがあります。そのリスクを緩和する方策として、建物インフィルを着脱・交換可能なものとする技術を用いて、インフィルをリース・レンタル化することが考えられます。
- インフィルを経時的にカスタマイズする建物再生は、日本では未だ一般的手法として定着していません。インフィルは物的担保にならないということが定着しない理由の1つと考えらます。独立した産業としてインフィル産業を成立させて、インフィルを動産化が求められると考えられます。
- 従来の住宅の部品プロダクトは、使用済みのものは廃棄されることが多かったのですが、インフィルのリース・レンタルによる供給では、再リースなどによるリユースが進められると考えられます。
- イトーヨーカドーさんは、セブンイレブンを多数展開することで、一つ一つは小さく散在していますが、実は合わせると大量に存在しているニーズに対応することに成功しました。住宅においても可能と考えられます。
4) 高齢者の在宅居住持続支援サービス
- 既存住宅には、健康阻害リスクや自立度低下と介護必要性から暮らせなくリスクがあります。一方で建設省総合技術開発プロジェクト (1987-1991年) においては、長寿社会における居住環境向上技術の開発が進められていましたが、このプロジェクトで、在宅居住期間を延ばしていくことが、個人のQOLにとっても、将来のサービス付き施設の需給バランスの適正化にとっても重要ということが示唆されています。このころは、手動制御するモノが主流であり、それが居住環境向上技術の開発が進まなかった理由の1つと考えられます。しかし現在は、組み込みシステムを内在するモノが当たり前となっています。つまりインターネットのネットワークを介して組込みシステムが各モノにつながっており、コンピューター制御によりモノが動く技術がつくられています。
- 虚弱な高齢者の住宅で、建具や住設機器類が、高齢者の状況に応じてコンピューター制御で動くということが考えられます。IoTによる高齢者の在宅居住持続支援サービスとして、例えば見守り、緊急地震通報による機器停止・作動、冷蔵庫を媒体とした食材サービスなどが考えられます。さらに今後はサービスロボットが住宅の一部になるということも可能になってくると考えられます。
(4) 居住性向上のためのサービスプロバイダー事例
- ハウスメーカーがプロダクト・プロダクターのままでいると、IT産業の下受けになってしまうことを危惧しています。組込みシステムを使って、住宅内のモノA、モノB、モノCがユーザーにとって最適に協調的に動いてくれる新たな形で、住宅の使用価値を高めることを、ハウスメーカーが進めていくことが大切と考えています。
- 新しい世代のスマートウォッチは、非常にバッテリーが長くなり、睡眠状態が分かり、安眠環境の提供までできるようになっています。こういった学習機能はスマホのサービス・プロバイダーが担っています。ハウスメーカーも同じことができるのではないでしょうか。つまり、スマホではなく、住宅がサービス端末となり、住宅をインターフェースとして利用することです。
- 住宅をサービス端末とすることにより、空調機やお風呂の遠隔操作、温湿度センサー別置による空調運転の最適化、安眠環境づくり、IoTを活用した健康管理といったことが考えられます。
- 日本の産業の残念な点は、スマホを携帯電話の延長と考えていて、これがサービス端末になったという本質的な意味の変化に気づかずにいるということです。
- 本質的なことは、既存の産業の枠組みが変化する、つまり社会の枠組みが溶けてしまうということです。そもそもの日本の住宅産業は、異業種の出自の方々が起業して、大きく発展してきました。ハウスメーカーの方々が、その先輩たちのスピリットをCX(顧客体験)とDX(デジタルトランスフォーメーション)の中でとらえていくと、既存の枠組みが溶けて、サービス・プロバイダーとして成長すると考えられます。
- 住宅のサービス端末化による新業種として、建物オーナーから20年のような長期に一括賃借し、ユーザー・住まい手・顧客にサービス価値をつけて1か月から5年の短期に賃貸することで、ニーズ変化と同じ速さでサービスが変化していくことが考えられます。インバウンドで来られた方や学生がユーザーになることもあるでしょう。