講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.リノベーションミュージアムの始まり
吉原:  この「山王マンション」は、吉原住宅が初めてリノベーションに取り組んだ建物です。1967年竣工なので、私が会社を引き継いだ時には既に築33年でした。当時の入居者さんは家賃滞納者ばかりで、毎日裁判所へ行って立ち退きの仕事をするのが貸しビルオーナーの仕事なんだと思い知らされました(笑い)。
この建物のリノベーションを始めたのは2003年です。福岡ではリノベーションという言葉が認知されていない頃でした。気付いたら全45住戸中31住戸に手が加わり、現在では全然違うデザインの住戸が集積しています。
松村:  すると、空いた住戸からリノベーションを進めていったわけですね。
吉原:  2007年には大規模修繕に合わせて「山王Rプロジェクト」という取り組みもしています。このプロジェクトでは、福岡の新進気鋭のデザイナー7人に集まってもらい、話し合いながら半年間かけて13の住戸を刷新しました。
この時、「福岡リノベーションミュージアム」と銘打った内覧会を行ったことが契機となり、吉原住宅では自社建物を「リノベーションミュージアム」と呼ぶようになりました。実際、住戸を作品に見立てた見学会を行ったり、リノベーション関連のイベントを開催したりして、Webサイトでも入居状況をカタログ展示のように示しています。Webサイトやfacebookで見学会を告知すると様々な方が参加するので、こうしたプロモーションは成功しているようです。





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