講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』
増澤珠美さん・倉石智典さん・小柴智絵さん「長野・門前暮らし−ナノグラフィカを訪ね、マイルームと共に空き家活用事例を巡る−」
増澤珠美 増澤珠美
「ナノグラフィカ」メンバーとして、演劇や音楽、ワークショップ、展覧会、街歩きなどの企画運営を行っている。
倉石智典 倉石智典
(株)MY ROOM代表。観光業、都市計画業、不動産業などを経たのち、2010年に空き家の仲介・リノベーションなどを専門とする「MY ROOM」を設立。
小柴智絵 小柴智絵
(株)MY ROOMスタッフ。今回の取材で取り上げた物件を案内して頂いた。



1.「門前暮らし」をすすめてきた「ナノグラフィカ」
2.空き家が空き家のままでいてほしかった
3.「ナノグラフィカ」はまちにとっての何?
4.まちで空き家を流通させる仕事のあり方
5.10のテナントがLLPをつくった「パブリックスペースOPEN」
6.倉石さんが自ら入る「東町ベース」
7.鉄骨造3階建てを借りた「Gallery & factory原風舎」
8.まちに開いた工房「OND WORK SHOP」
9.東京から来た「アソビズム 長野ブランチ」
10.まとめ



1.「門前暮らし」をすすめてきた「ナノグラフィカ」
松村:  長野市の善光寺の門前町には数多くの空き家があります。最近、そうした空き家に様々な職業の人が移住してきています。そのきっかけとなったのが、増澤さんたち「ナノグラフィカ」が作成した『門前暮らしのすすめ』(2010年発行)と聞いています。
増澤:  私が長野市で暮らし始めたのは20数年前です。信州大学の教育学部進学がきっかけでしたが、そのまま長野市に住んでいます。ナノグラフィカの前身は、仲間で一緒に立ち上げた「ネオンホール」というライブスペースです。その10周年に編集室「ナノグラフィカ」を立ち上げました。ネオンホールはライブ表現の場ですが、こちらでは紙媒体の発信をしようと考えました。ネオンホールは夜のお店なので「夢」のスペース。一方、ナノグラフィカは、昼間のお店なので「現実」のスペースと捉えています。
ナノグラフィカとして最初に手掛け、今も続いているのが長野の街並みの写真冊子です。ネオンホールのときからずっと思っていたんですが、若くて面白い人たちがみんな東京に行っちゃう。長野には何もないって言って。面白いミュージシャンとかアーティストが東京へ行ってしまうのを目の当たりにしてきて、その人たちに「長野は面白いから、ここで何か一緒にしようよ」って言いたかった。

ナノグラフィカが発行する写真冊子「街並み」



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