講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


10.まとめ


長野の門前町、それは時代の先端にあります

長野の門前町で古い空き家、空き店舗、空き工場等を活用して、新しい暮らしやシゴトの場を創り出していこうと動き始めた倉石さん(今回登場)と設計事務所を営む広瀬さん、宮本さんのお三方と初めてお会いしたのは、2011年8月末の北九州においてでした。この時私は、一般社団法人HEAD研究会の仲間たちとともに、1回目の「リノベーションスクール」を北九州で開催しており、お三方は受講生として参加されていました。各地で似たような試みを始めている人たちと交流して情報交換したいという思いで、わざわざ長野から4日間続くリノベーションスクール@北九州に来られていたのです。その打上げの宴席で、お三方から声をお掛け頂いたのがきっかけで、その後何度か長野の門前町にはお邪魔してきました。今回キーパーソンとしてお話頂いた増澤さんにも、最初に門前町を訪ねた折にお会いしました。

リノベーションスクールでお会いした際には、倉石さんたちは「勉強させて頂いています」という体で、終始謙虚なご様子でしたが、実際長野の門前町に伺ってみると、ここが時代の先端を走っているということに気付かされます。行く度に事例が増え、4年ほどの間に60件もの空き家、空き店舗、空き工場等が全く新しい人々の新しい暮らしやシゴトの場になったとのこと。この継続性もすごいですし、またそこに入ってきている新しい人も彼らの新しい暮らしやシゴトも、実に多様で生き生きしています。素晴らしいことだと思います。

この一連の活動の始まりを創った増澤さんの、地元愛と生活感とアートっぽさに溢れる立ち居振る舞い、そして事業として空き家、空き店舗、空き工場等の仲介とリノベーションを続けてきた倉石さんの穏やかな逞しさ。そしてその仲間たち。まちを面白くしたいという地元の人々の思いが結実している様子に、今回もまた感動させて頂きました。まちという生活空間を面白くするのは、仕組みよりも先ず人です。これは間違いありません。

(松村秀一)



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