講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


4.まちで空き家を流通させる仕事のあり方
松村:  「門前暮らしのすすめ」の「空き家見学会」を担当しているのは、倉石さんたちの「マイルーム」ですよね。頂いたイラストマップによると、5年間ほど60〜80件の案件をこなしているようですね。現在、仲介できる物件はどれくらいあるんですか?
倉石:  20〜30件くらいです。物件化しようと思えば100件くらいのストックはあると思いますが、門前界隈の物件の仕入れには時間がすごくかかります。例えば、10件の空き家を回ったとして、所有者情報が1件分かれば上出来です。相続登記が行われていなかったりしますから。また、所有者が10人分かったとしても、会って話を聞いてくれたりするのは1〜2人くらいかな。
もっとも成功事例が増えて、だんだん認知度が高まってきました。そうなると、入居者たちがいい営業マンになってくれて、彼らがご近所さんに説明しておいてくれるようになります。
松村:  基本的には手間がかかるわけですね。そうした仕事を業として成り立たせるのは大変でしょうね。
倉石:  うちは建築と不動産の両方を仕事にしています。つまり設計から賃貸経営まで全てやっているので成り立っています。そういう業務をいくつかの会社が共同でやろうという取り組みもあるんですが、お金や責任の分担が偏ってしまうようです。
持ち出しが多いうえに、資金回収が遅いこともあって、ひらすら自転車をこいでいる感じです。もう何件か成功事例を作れれば、体力がついてくると思うんですけど。

古民家カフェ&ダイニングGofuku:元呉服問屋のリノベーション建物で開業。写真はオープンテラス部分。



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