講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.藤野の町おこしとパーマカルチャー
鈴木:  そもそもどのようなきっかけで里山長屋がここに建てられたんですか。
山田:  旧藤野町は20年ほど前から芸術による町おこしを進めてきました。その結果、色々な人が移り住むようになって、相模原市と合併する前には約1万人の人口のうち、約半分ほどは都会から移住してきた人々になりました。その中にパーマカルチャーの教育/啓発活動をしようというグループがいて、1997年頃にパーマカルチャー・センター・ジャパンという組織を立ち上げたんです。私も建築と環境をテーマに仕事をしていたのでつきあいが深まりまして、この組織が2005年にNPO法人になってからは理事を務めています。

この「里山長屋」は、パーマカルチャーを勉強している2組の家族がこの土地を買って戸建住宅を建てたいと私に相談にいらしたことが始まりです。プロジェクトが始まった2008年頃はシェアハウスやコ・ハウジングが注目されている時期でもあったので、隣のもう1区画も購入して共有部をもつ7〜8戸ほどの集合住宅にしてはどうかと話が発展していったんです。その後は半年ほどかけて、環境と建築やコ・ハウジングといったテーマで勉強会を重ねていきました。勉強会は近くの廃校を改装した場所で行いましたが、藤野の内外から毎回30人程度がいらっしゃいましたね。
鈴木:  コーポラティブ方式では途中で参加人数が変わったりすると大きな問題になります。このプロジェクトではそうしたことはなかったんですか。
山田:  4戸構成の規模に収斂してからも、資金的なハードルがクリアできないと断念された方がいます。また勉強会の仲間の近くに住みたいけどやっぱり戸建住宅がいいということで、お隣の土地を購入して戸建住宅を建てることになった方もいたりします。実は里山長屋に暮らす4世帯のうち最後に参加したのが私たち夫婦なんです。建設計画の大詰めで参加が確定していたのは3組だったんです。そんなときに「何で山田さん達が参加していないの?」ということになって(笑い)。



前ページへ  1  2  3  4  5  6  7  8  9  次ページへ  


ライフスタイルとすまいTOP