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鈴木: |
今回は千里ニュータウンに住みながらMs建築設計事務所を営まれている三澤ご夫妻にインタビューをお願いしました。生活者と設計者の両方の視点からニュータウンのお話を伺えると思いますが、ご自宅兼事務所ではお店も営業されているそうなので、そうした場を介した近所づきあいもお話しいただけると期待しています。
Msは数多くの住宅設計を手掛けられてきましたから、そうした業務を通して垣間見えるクライアントのライフスタイルなどもお聞きしたいですし、木の家づくりとして取り組んできた木造住宅への独特なアプローチもご紹介いただければと思います。
盛りだくさんですが、まずは千里ニュータウンに住むきっかけからお願いします。
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三澤(康): |
私たちはもともと東京の設計事務所に勤務していましたが、独立して子供も生まれるというタイミングで、私の故郷の大阪に帰ることになりました。職住隣接を望んだことと、やはり電話番号の市外局番は06でないと信用に関わるという感じがして、最初は大阪市内で探したんです。でも適当な場所が見つからない。
途方に暮れていたところ、お前も建築の専門家ならなんとかできるだろうから、ここに住んでみたらどうだとこの場所に住んでいた私の兄が言ってくれたんです。敷地の端に30坪くらいは建てられる細長い場所が空いていたものですから…。
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三澤(文): |
そうした経緯で細長い自宅兼事務所を建てたのが1985年のことです。近所の人は上に増築するんだろうと思っていたようですが、横に増築したのでちょっと驚いたみたいです。こんなところに建つのかって。
もっとも市内で設計事務所をやっていれば業者の人もたくさん来るんでしょうが、ここには誰も来ない(笑い)。たまに家具屋さんがカタログを持ってきたりするとビールなんか出しちゃったりして…という状態でしたが、1年くらいして仕事が軌道に乗り始めた頃から、ここの便利さが分かってきました。駐車スペースがあるので、実は業者の方も来やすい。お施主さんも車で来られる方が多くて、お庭もあって周りは住宅地ですから、お子さん連れでリラックスして来ていただけます。新大阪駅にも大阪空港にも15分で行けるので、仕事が大阪以外に広がって出張が増えてもすぐに対応できました。
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三澤(康): |
ニュータウンは住宅という単一用途を前提としていて、建前としては商売をしてはいけない場所柄かもしれません。この建物は店舗併用住宅になりますが、設計事務所はものを売る商売ではないので、すんなり溶け込めたようにも思います。それに「Msの設計したものはこういう建物です」ということを示せるのは大きなメリットです。いわばモデルハウスに住んでいるので、お施主さんにとって分かりやすい。
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三澤(文): |
20年以上経っていますが、その状態をお見せするわけです。新しいときは新しいなりにお見せましたし、年数を経て次第に生活感が醸し出されてくると、Msの説得力にもつながって行きました。ここを見て気に入らなければ断られますから、後からクレームが出ることも未然に防げているようです。
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