講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


4.賃貸併用住宅の可能性
瀬戸口:  この連載の中で面白いと思ったのはゲストハウス(第22回)です。新しい居住形態の紹介でしたが、ああいう住まい方でも地域との連動性がないとうまく溶け込めないと思います。管理者の有無がゲストハウスとルームシェアとの違いという話がありましたが、昔でいうと長屋みたいな、いわば賃貸併用住宅のオーナーさんが地域のコントローラーになるような連動性があり得るのではないかと思いました。
松村:  ゲストハウスの大家さんが言うには、一般的な賃貸住宅も持っているけど、全然違うそうです。何か生きがいが出来たようで楽しいって言っていましたね。
瀬戸口:  二世帯住宅を兼ねた賃貸併用住宅を建てたお客さんがいて、娘さんが元スチュワーデスで、賃貸部分には娘さんの紹介でスチュワーデスだけが入居している。彼女たちからオーナーはパパママと呼ばれていてすごく幸せそうです。
松村:  確かに東京で最初に住んだ賄い付き下宿を思い出すと、家族みたいなものでしたね。ワンルームマンションが流行るようになってしまったけれど、もう少しそういう住まい方があってもいいですよね。
鈴木:  ワンルームマンションが最終局面という感じもありましたが、ここ数回の取材を振り返ると、世の中少し戻っているのかもしれません。実際、興味深い賃貸住宅が増えているような気がします。建築関係者が何か提案してもプライバシーを重視してバラバラに住む状況は変わらないのかなと思っていましたが…。
瀬戸口:  家族の最大状態で家を作るのではなくて、最小状態で作って、そこに余録的スペースを加えておき、必要に応じ利用する感じです。それから、小さめの賃貸併用住宅だと居住者が知り合いや親戚のことも多い。だから公的融資を使いたがらないし、オープンに募集もしない。でもそれによって、変な人が入らないとか地域に溶け込めるとか、良い賃貸住宅につながっている。この様に普通の方がいろいろ考えて建築していますから、それをバックアップできればと思っています。



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