講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


10.山晴荘オーナーインタビュー3
松村:  例えば、一番小さな3畳の部屋で家賃はおいくらになりますか?
山口:  家賃が5万円で、光熱費が6千円になります。口座振替にして振込手数料を負担させないようにしています。ちなみに、この辺のアパートだと6万円くらいになるのかな。だから、費用的には結構高いと思いますね。
松村:  ということはこの共用リビングに価値があるわけですね。
山口:  むしろコミュニティじゃないでしょうか。コミュニティがダメになると、すぐに出て行っちゃうんじゃないかなと思います。
鈴木:  みんなで食事をしたりするんですか?
山口:  みんなで食べることはないですね。たいていはリビングかキッチンで食べているので、たまたま同じ時間に一緒になることはあるとしても、食事の時間はバラバラですから…。

もっとも、なるべくコミュニケーションを取ろうと思いまして、私が費用を出して2ヶ月に1回はここで飲み会をしています。その時は、あそこでバイトを募集しているから行ってみたらなどと話しています。
松村:  なんか大学の研究室と似ていますね(笑い)。コミュニティについて気をつけていらっしゃることで他に何かありますか?
山口:  基本的にお互いのプライベートに立ち入らないようにしていますが、きっかけさえあれば自然と話をするようになって、あとはみなさんうまくやっていくみたいです。
松村:  2ヶ月に1回の飲み会はすごく大事なわけですね。
山口:  それはすごく大事なんじゃないですかね。友達を連れてきても構わないので、女の子が女友達を連れてきたりすると、男としては楽しいじゃないですか(笑い)。それに男の子が女の子を連れてくることもありますよ。
鈴木:  定期的なイベントは、他のゲストハウスでも行われているんですか?
北川:  古くからの業者さんは事業の中に入れていますね。やっていくと費用対効果が高いことが分かってくる。パーティーを開くのは少しめんどうくさいだけで、お金はかかりません。それをやることで、入居期間が伸びたり運営が楽になったりという実際の効果があるので、長く運営しているところはそうした仕組みを持っていますね。
山口:  今ではリビングの壁がちょっとしたメッセージボードになっています。最初は何も無くて殺風景だったんで、私がこの辺のハガキを貼ったんです。そうしたら、みんなも貼るようになってね。これは劇団の方のポスターですが、これを見て芝居に出かけたりしています。
佐藤:  外部の人を連れて来ちゃいけないとか麻雀禁止とか、決め事があると思いますが…。
山口:  麻雀はあんまりやって欲しくないですが、大人ですから彼女を泊めるのはOKですよ。ただし、いつ友達を泊めるのか事前に私に知らせて、1泊1500円を支払うことにしています。じゃないと無制限になっちゃうんで、それはみんなきっちり守っていますね。
北川:  その辺りは意外と重要なところです。外国人の方ですと、国から友達が来たのでちょっと泊めますと言ったのが3ヶ月になったりする。すると光熱費も変わってしまうので計算方法によってはトラブルになりますし、セキュリティーホールになることもある。ですから、山口さんのようにある程度ハンドリングすることが必要です。
山口:  北川さんのアドバイスを忠実にやっているだけですよ(笑い)。最初はそこまで考えていなかったですから。



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