講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.どうやって探す?
見立:  アンケート調査によると、ほとんどが最寄り駅まで10分未満の物件で、居住者の7割ほどが通勤時間30分未満と答えています。賃料は5.5〜6万円が最も多く、10万円以上も少しあります。寝室までシェアするドミトリーになると、3.5〜4万円までぐっと下がります。もっとも六本木ヒルズまで徒歩数分といった物件は5万円以上になったりします。(右図は次の文献を参考に作成:丁志映,“ビジネスモデルとしてのシェア居住の可能性−LLP団地シェア居住、シェアードハウス、ゲストハウス”,すまいろん2007春号,pp.34-38.)
鈴木:  ゲストハウスは普通の不動産屋ルートで探せるのですか?
北川:  まず探せないです。100%近くインターネット経由です。単純に仲介料の支払いを避けているという理由もありますが、不動産屋ルートには問題が二つあるんです。まず、ゲストハウスの存在価値や意味を理解できない。不動産屋さんで仲介しちゃうと風呂なしアパートの扱いを受けてしまう。もう一つは管理上の問題ですね。不動産屋さんが案内のために頻繁に出入りすると、ゲストハウスの生活の妨げになる。

それとゲストハウス運営の要はコミュニティ管理ですが、内覧というのは面接の場でもあるんですね。運営側は、案内のときに入居希望者をよく見て、場合によっては断らないといけない。そういう機能が案内にあるものですから、既存の仲介システムとは馴染まないんですね。
松村:  家賃は上がってきているんですか?
北川:  むしろ体感値としては下がっています。かつては外国人向けマーケットだったので、ぼろぼろのアパートでも都心近くでは9万円前後を当たり前のように取っていた。当時はお金を持っている外国人でも日本で借りられる物件は貴重でしたから、彼らにとっては水回り共同でもOKでした。でも、そうした家賃で水回り共同OKという日本人はまずいません。日本人の居住者が増えるにつれて家賃がじわっと下がって、今はワンルーム家賃を少し下回った辺りです。この辺りが体感的に値頃な価格帯なのではないかと感じています。
松村:  敷金などはどうなっているんですか。それから平均的な入居期間も教えてください。
北川:  原則なしをうたっていますが、実際は保証金という名目で家賃1ヶ月分ほどを預けます。ですから敷金に相当するものはあります。でも、一般的に保証人は不要です。

入居期間はばらつきが大きいです。これは管理能力に比例する感じですね。比較的しっかりした業者さんのゲストハウスでは1年間くらいが一般的で、すごくよくできている業者さんが運営する物件ですと、2〜3年に伸びていく感じです。中には4〜5年という方もいらっしゃいます。
松村:  やはり賃貸アパートより短いですね。
北川:  初期費用がものすごく安いので、引っ越しもしやすいですから。ひつじ不動産のポータルサイトを見て、良い物件があるとすぐに移っちゃう。それこそ買い物感覚で引っ越しちゃうのが特徴です。居心地が悪いゲストハウスでは、入居者が決まる一方で、穴の空いたバケツのようにどんどん出て行ってしまう。
鈴木:  マーケットとしては理想的な状態ですね(笑い)。
北川:  媒体のところで情報流通を担保してあげれば、フェアな競争が生まれて品質が上がっていくと思うんです。実際そうした状況が生まれています。
西田:  住民票は移せるんですか?
北川:  もちろん移せますし、郵便物も届きます。ただ、一部の物件で業者さん側がダメと言っている場合もあるようですが、住居で賃貸契約しますから本来は差し支えないはずです。



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