講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


8.山晴荘オーナーインタビュー1
松村:  山口さんがこうしたゲストハウスを始められたきっかけからお話ください。
山口:  祖母の相続をきっかけにここを買ったんです。15年間も空家でしたが、壊すのはもったいないんで、そのまま利用できないかと考えまして。と言うのも、ゲストハウスに住んでいた友人がいて、おもしろいものがあるなぁと思っていたんです。この建物が下宿風の作りだったんで、ゲストハウスしかないと考えました。

業者に管理をお願いしたんですけど、断られちゃったんです。もっと大きな物件じゃないとビジネス的に合わないんでしょうね。それで、やれることは自分でやるかということになって、自分で掃除から始めました。あとは美術系の大学生にちょっと手伝ってもらって、1年くらいかかってなんとかオープンしました。一番小さな部屋が3畳で、一番広い部屋でも4畳半です。
鈴木:  そのときの大きな直しというのは…。
山口:  出来る限り昔のままにしたかったんですが、トイレを二つにしたことと、お風呂がなかったのでシャワールームを付けるのに費用がかかりましたね。あとは壁紙の張り替えくらいです。畳もそのままです。北川さんに聞くと、畳敷きのゲストハウスはあまり無いらしいですね。若い人はこういう家を知らないので面白いみたいです。
鈴木:  居住者は北川さんのサイトで募集したわけですね。
山口:  全員そうです。空室表示にすると翌日にはメールが来ます。空きは結構出るみたいですが、見つけた瞬間に連絡しないとどんどん埋まっちゃうそうです (笑い)。メールを受け取ったら見学に誘いますが、地方にいたまま見ないで決めた方もいます。

見学に来た3人に1人が入居する感じですから募集には苦労しないですね。アパートも経営していますが、そちらより全然いい。真っ暗な部屋に帰るより、帰ってくると誰かが居て、このリビングに来てお酒を飲んだりという方がいいんでしょうね。
松村:  こちらにはどの程度の頻度でいらっしゃるんですか?
山口:  私はこの近くに住んでいまして、毎日来ています。その必要は無いんですが、ゴミ捨てがちゃんとしているかなどを見ています。掃除は週に1回です。共用のリビング、キッチン、シャワールーム、トイレの掃除は私と妻と母が交代で行っています。
松村:  ゲストハウスに住んでいる方は若いと聞きましたが…。
山口:  現在は全員20代で、女性2人と男性5人です。大学生は1人だけで、あとは役者を目指している人や映画関係を目指している人など様々です。まあ、自分の道を探しているようなフリーターの方ですね。一時期、外資系サラリーマンもいらしたんですが時間帯が合わない。寝ているときにガチャガチャやっていたりするので出て行っちゃった。生活時間帯が同じような人が残った感じです。
松村:  入居希望者には面接みたいなことをされるんですよね。
山口:  ちょっと話し込んでみて、私とうまくやれそうかを確認します。それで挙動不審じゃなければ全員ウェルカムです。でも、60歳の方から連絡があったときは断りました。コミュニティの中に入れないでしょうから。
松村:  何歳くらいまでなら受け入れられると思いますか?
山口:  40歳くらいまででしょうか。独身で見た感じが若そうな人だったらいいんじゃないかなと。今までの最年長は30歳くらいです。
松村:  全員日本人ですか?
山口:  私が日本語しかしゃべれないのと、どう判断したら良いのか分からなかったので、とりあえず日本人に限定しました。今度空室が出たら外国人も受け入れようと思っています。
鈴木:  個人で面接すると断りにくくないですか?
山口:  年齢的な理由がない場合は断りづらいですね。でも、なんとなくこっちがどうかなと思うと、その人も決めないですね。決める人は勢いが違うんですよね。今日絶対決めるぞっていう雰囲気があります。



前ページへ  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  次ページへ  


ライフスタイルとすまいTOP