講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7.ゲストハウスの今後
松村:  賄い付き下宿に大学1年の時に住んでいたけど、楽しかったことは確かですね。精神衛生上はワンルームマンションよりずっと良かったように思える。
見立:  そうした一人暮らしより防犯上安心という意見も女性居住者には見られますね。それと、最大手業者の社長によると、かつては居住者同士の結婚も結構あったそうです。ひょんなことから一つ屋根の下という状況は、ラブコメの基本ですからね(笑い)。
松村:  ところで、ゲストハウスはこれからもずっと若い人のものなんですかね?
北川:  個人的な予想ですが、確実に世代的な広がりが出てくると思います。と言うのも、ゲストハウス居住者のシェア住居経験率は非常に高いんです。つまり、シェア住居に価値を見い出した人はリピート率が高い。こうした人々が5年後、10年後に子育て環境を求めたときに、あらためてシェア住居が有力な選択肢に浮上するような気がしています。

また、定年後の居住環境としての展開も十分な可能性があると思います。老人ホームとは違った、もっと個人の任意性が確保されるような環境が求められると思うんです。実際、そういう問い合わせは結構来ています。現時点では、そうしたゲストハウスの運営に自信がある業者さんはいないようですが、おそらくマーケットはあります。それに、そういう年代層じゃないと成立しない物件が郊外にはたくさんあると思っています。逆に、そもそも東京都心部やその近郊のように高密度に住む場合には、むしろ一定部分を共有するのが物理的に自然なあり方だと思うんです。案外、都心のワンルームマンションに住むことに理由が必要になる時代が来るかもしれませんよね。



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