講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.家事の一つとしてのDIY


最初、事務局からメールを頂いた時、DIY活動について話して欲しいとあったので、活動と言われるけれど、そんなに特別なことではないのだがなぁ、と正直思いました。というのも、炊事、掃除、洗濯と同等のものではないかと僕は思っているからです。家事の一つであって、その頻度と内容が違うだけだと思っています。最近は男の料理というカテゴリーがありますが、最も近いのは炊事かなと思っています。



男の料理というのはDIYに近いとは思うのですが、実は男の料理ってろくなものじゃない(笑い)。お客様を招くための料理にもならないし、普通の晩御飯や朝御飯にもなりえない。日本特有の男らしさを前面に出したただの男の料理に過ぎなくて、それはどうやら月刊雑誌型と料理番組型という2つのタイプに分かれます。DIYにも月刊雑誌型とテレビ番組型とがあるような気がしています。会社を辞めてまで大工さん並みに家を建てようというタイプ、どこまでもDIYにこだわり自分で作った物を主張したがるタイプ、その二つがあるように思います。



20年以上前、結婚してしばらくしてから日曜大工を少しやろうかと思い立ちました。テーブルの高さが気に食わなくて直そうと思ったんですね。参考になる本でもないかなと本屋に行くと、いわゆる何とかムックがたくさん出ているわけですよ。ところが、紹介されているのは、会社を辞めてここまでやりましたとか、私はここまでこだわっています、といった仙人みたいな人ばっかりなんですね。とてもこれはついていけないなと思いました(笑い)。



それで、わが道を行くことになったのです。僕の場合はそこまで肩に力をいれて取り組む気はなくて、使いやすいのが欲しいな、当時住んでいた借家を住みやすくしたいな、という思いが出発点でしたから。しかも、仕事もしなくてはいけなかったので時間帯をどう配分するかということも色々考えました。昼間仕事をして夕方にDIYをするのもご近所さんに何を言われるかわかんないし、そんなことを工夫しながらやっていくというのがスタート地点でした。



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