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守友: |
湧水町の現場までは、僕の家からでも片道1時間ほどかかりました。毎日通うのも大変だし、小さな子がいるのであまり家から離れられない。そういう事情を説明して、家族ごと現場に住まわせてもらいました。潤さんは自分でお昼ごはんを作ったりしますが、私にはできないのでそちらは妻にお願いしました。彼女は食に関係する仕事をしていたので、作ることも好きなんです。最近気付きましたが、守友家全体で取り組むようなところが私の特徴になっていて、そうしたスタイルがこの現場で生まれることになりました。
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鈴木: |
奥様もコミュニティ大工だったんですか!
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守友(敏代): |
現場でご飯も作りますし作業もします(笑い)。最近は下地をトンカンするのは彼で、私が仕上を担当しています。
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守友: |
その現場は、放課後等デイサービスということもあって、大人の数と同じくらい子供がいました。作業に参加される人たちが連れてきていたんです。今思うとちょっとカオスな感じでしたが、元保育士さんがもっぱら子供たちを見る役目になるなど、自然と役割分担ができあがっていて興味深かったですね。
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松村: |
やはり通常の現場とは違います。そうした現場に戸惑いませんでしたか?
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守友: |
コミュニティ大工の初めての現場では、うまく立ち回れないことが結構ありました。ついつい自分で作業をやってしまう。そこで学んだのは、施主の思いを具現化することの大切さです。限りある予算でも最低限やって欲しい内容があるわけです。もちろん設計の仕事でも、お客さんのニーズに応えることが基本ですが、コミュニティ大工は本当にユーザーに接しながら仕事をすることになる。ここが難しいところでもあり醍醐味にもなります。ちなみに僕たちは、霧島市のサポートを受けながら「えんがわマルシェ」という活動もしています。子供たちが自由に遊べるような空間を提供したいと思っての活動です。マルシェのつながりで施工の依頼を受けることもあって、コミュニティ大工の活動にも深く関連しています。
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鈴木: |
マルシェを主催しているとのことですが、何店舗くらい出店してるんですか?
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守友(敏代): |
35店舗くらいです。その多くは食べ物を扱っていますが、リラクゼーションのお店もあったります。鹿児島産の木材でおもちゃを作っている人も出店していて、端材でワークショップを開いたりしています。霧島市では2021年から「リノベーションスクール」が開催されています。このマルシェが生まれるきっかけも加藤潤さんに出会うきっかけも、リノベーションスクールなんですよ。
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松村: |
リノベーションスクールだったんですか、コミュニティ大工になるきっかけは!
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守友: |
コミュニティ大工といっても、潤さんのスタイルと僕のスタイルとでは異なります。それぞれの活動を尊重しながら、コミュニティ大工の大事なところを共有していけたらと思っています。それが何なのか、まだうまく言葉にできていませんが、何かが繋がっていく、施主だったり改修作業に参加する人たちが繋がって広がっていくようなことが、肝なんだろうなとは思っています。
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