ライフスタイル考現行


コミュニティは経済価値を持ち得るか−コーポ江戸屋敷の実験

吉原勝己さん
株式会社スペースRデザイン代表取締役。詳しくは「ライフスタイルを見る視点」の第43回参照。
半田啓祐さん・満さん
兄弟で合同会社H&A brothersを営む。HandA ApartmentをDIY再生し、現在はコーポ江戸屋敷のコミュニティデザイナーも務めている。
亀崎正吾さん
株式会社亀崎開楽園代表取締役。造園業を営みながら、コーポ江戸屋敷の職人シェアオフィス「BASE」を拠点とした活動も展開中。



1.経営に窮した団地型賃貸マンション
2.ビンテージ団地カレッジの開催
3.職人シェアオフィス「BASE」
4.コミュニティメンバーとしての職人チーム
5.職人ネットワークの可能性
6.コミュニティデザイナーの日々
7.フェードアウトする管理者
8.コミュニティデザインの成果
9.まとめ



1.学生時代のアイデアコンペ
松村:  今回は久留米市にある「コーポ江戸屋敷」にやってきました。『ライフスタイルを見る視点(第43回)』でも少し紹介のあった事例です。
吉原:  コーポ江戸屋敷は、西鉄久留米駅から2.5kmほど南にあります。賃貸マンションとしては、かなり前から経営困難に陥っていましたが、高齢の前オーナーにとっては思い入れがあり、建物を壊さない売却先を探していました。ちなみに「江戸屋敷」はこの辺りの地名です。かつて久留米藩には、江戸常駐の家臣がいました。明治維新後、帰郷者の屋敷がこの辺りにまとめて作られ、こうした地名が付いたそうです。
松村:  スペースRデザインが引き継いだ時、コーポ江戸屋敷はどんな状態でしたか?
吉原:  入居者は結構いました。しかし、リノベーションに取り組むと、空室が埋まる一方で続々と退去者が現れてしまいました。実はこうした現象は、しばしばあることなんです。新たな取り組みを行うと、違和感を覚えた入居者が出て行ってしまう。コーポ江戸屋敷の場合、前オーナーは敷金・礼金なしで入居者を集めていたんです。要するに割安感に引きつけられた入居者が多かったので、家賃の上昇傾向を感じて出て行ったようです。結局、この辺りの家賃は5万円程度が上限になっていることを踏まえて、コーポ江戸屋敷の付加価値創出に取り組むことになりました。




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