高齢者等住まい関連施策について
 〜ハウスメーカーへの期待〜

【質疑応答・意見交換】

成熟居住委員:二地域居住がとても重要なテーマと考えております。成熟社会居住委員会の活動項目である、郊外住宅活性化やポストコロナ時代を見据えたまちづくり・住まいづくりに関連するテーマと考えられます。都市部一極集中の解消や、多様な住まい方にも関わっています。住団連の他の会議でも議論していますが、国の支援の可能性はあるでしょうか。
上森課長:国の方でも全国二地域居住等促進協議会の活動を支援していると聞いております。ただ、二地域居住自体は個人の選択で行うもので、住宅コストや移動コストに対して、国から補助するということは難しいかもしれません。
成熟居住委員:住宅生産振興財団では、4年半前くらいから、関連会社がこれまでつくった住宅団地の中で、25年以上経過し、40世帯以上が居住している団地での空き家がどうなっているかについて、現地目視調査とポスティングによるアンケート調査を行っています。さらに地方自治体のご協力をいただき、自治会へのヒアリングを実施しました。居住者の皆さんは自宅に住み続けたいが、将来介護施設に入所などとなった場合、子ども達は自分の家を持っているし、自宅をどうするかというお考えはできていないようです。リバースモーゲージや移住・住みかえ支援機構のこともご存じないようです。地方自治体のご協力をいただきながら、勉強会を開催していますが、その中で感じたことは、自宅をどうするかについて分かりやすく、簡単に説明するためのパンフレットがないということです。
上森課長:介護施設などに入所された方のお子様にお話を伺うと、たくさんの家財があり、親の家を物置代わりにしているとのことでした。また親が生きている間の家の処分はできないということもあるようです。そうして管理の行き届かない老朽化住宅が放置されるということが問題になっています。
成熟居住委員:地方の中には、親が亡くなった後も、家を処分するなという考え方のところがあるようです。しかし地方では昔の様に子どもが家を引き継ぐのではなく、子どもは都市部で生活するようになっています。
高齢者住まい方WG:住生活基本計画目標4の「総合的な相談体制」について、具体的なイメージのご説明をお願いします。
上森課長:現在のところ、高齢者住宅協会に相談対応をお願いしていますが、今後こうした相談窓口が拡がることを期待しております。あわせてハウスメーカーが供給してきた住宅の居住者からの相談を受け付ける体制の拡がりも期待しているところです。
高齢者住まい方WG:大和ハウス様のように住み替え相談などに着手されているハウスメーカーもあります。弊社でも検討議題になってきましたが、それでリフォームや住み替え事業などでどれだけ費用が回収できるのかというお話から実現には至りませんでした。回収の求められる点が、民間企業のジレンマです。ただ、高齢者の住まいに関する相談先になるのはリフォーム事業者ではないかと考えています。60代から70代前半で、まだ元気だからリフォームするというお客様も、介護が必要になったら施設に入所することになるのかという悩みを抱えておられます。弊社では高齢者住宅協会と協働で、高齢期の適切なリフォームアドバイスを行う人材育成講座を進めていますが、ハウスメーカーだけではなく、工務店や建築士など、様々な方が受講しておられます。その中で感じていることは、高齢者の様々な不安に対して“よろず相談“のようにお話のできる方が、リフォームへの意思決定まで寄り添えるということです。高齢者の様々な不安に寄り添っていく方法について、高齢者住宅協会と一緒に考えているところですので、今後ともご支援いただけたらありがたいと考えております。
上森課長:相談の拡がりが大切と考えており、今後も人材育成について高齢者住宅協会様との協議などを進めて行きたいと思います。
高齢者住宅協会:今、「お悩み相談」というものを行っていますが、自分の住まいの相談ではなく、親の住まいの相談や親の住み替えの相談が大半です。一般のユーザーには、建築事業者や不動産会社に相談することについて「騙されるのでは」という警戒心があるようです。効果的な断熱リフォームや移住住みかえ支援機構のことなどを知る機会がなく、知ろうとしても情報提供先への警戒心を持ってしまって、結果的に何もできないという現状と思います。寄り添える人材がなければ、リフォーム・住み替えなどの事業成立は難しいと考えられます。高齢者住宅協会ですとユーザーから営業目的ではないと認識していただけますが、民間企業ですと営業目的と考えられてしまうということがあります。
上森課長:個々の会社で動くと、営業目的ではと警戒されることがあるかもしれません。
高齢者住まい方WG:誰に相談したらいいかが分からないというお客様がとても多いということを感じています。それをどう寄り添っていくかが課題となっています。営業が出ていくとご指摘の通り、警戒されてしまう。フラットな立場で相談に応じることができる、高齢者住宅協会のような存在が必要と考えられます。また、住まいはお金のことと深く関わりますので、ファイナンシャルプランナーのようなお金の専門家につなげていくことが必要と、最近感じています。
高齢者住まい方WG座長:高齢者住宅協会では「介護と住まいの相談員」、住宅生産振興財団では「世代交代コーディネーター、マネージャー」、厚労省では「高齢者住まい紹介センター相談員」という言い方をしておられます。統一した呼び名ができないでしょうか。また、資格を持ったスタッフがおり、半公共的な立場で相談に乗ることのできる窓口が各都市や地方にあるような仕組みできないかと考えています。
上森課長:リフォームは住宅資産活用など、その家を販売したハウスメーカーにまず相談するのでしょうか。
高齢者住まい方WG座長:家を売るということを、もともと買ったところに相談することへの抵抗感はあるようです。有料老人ホーム入居者には、供給したハウスメーカーには言わないで家を売るという傾向があります。日頃からフォローしているハウスメーカーであれば、違う傾向になると考えられますが。
上森課長:ハウスメーカーはユーザーへのフォローをどの程度行っておられますか?
成熟居住委員:上郷ネオポリスは本日先進事例としてご紹介いただきましたが、実は弊社が改めて地域にうかがうとき、7年間は営業しないというスタイルでした。供給後のフォローがあまりできていない状態で、地域から「今頃何のため」と言われることの可能性を考えていました。弊社の家をもともと購入したが、建替えは別のハウスメーカーにお願いしたというお客様もおられます。このように改めて地域に入ることの難しさがあります。


以上