講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


座談会「子育てとライフスタイル」
座談会「子育てとライフスタイル」



1.はじめに

2.子育て座談会

  1.自己紹介
  2.ファミリーサポートセンター
  3.保育園と保育時間
  4.保育園さがし、子連れ出勤
  5.子供が増えたとき
  6.子育て支援の意図、子育ては楽しくない?
  7.子育ての損得計算
  8.子供が生まれて変えた、変わったライフスタイル
  9.子育てに対する男性の意識

3.まとめ

  ワーキング・マザーは町を選ぶ
  理屈抜きの存在を許さない時代
  育児者の外出行動について



1.はじめに

少子化が社会問題としてクローズアップされるようになってきました。少子化の原因の一つに女性の就業意識の高まりがあると言われています。確かに、子供が産まれると女性は子育てに追われることになりますが、子育てと仕事を両立している女性は少なくありません。今回は、働きながら子育てをしているワーキング・マザーの方々に本音を語って頂きました。


2.子育て座談会


1.自己紹介

松村: 本日は子育てしながら働いているワーキング・マザーのみなさんにお集まり頂きました。あるデータを見ていたら、職を持っている女性の方が特殊生涯出産率が高いんですね。専業主婦の2.1人に対して就業主婦は2.2人です。有意な差ではありませんが、少々、意外でした。その理由を考えたのですが、ある方は間違いなく経済的要因だと言っていました。子供を二人なり三人なり産もうとすると、経済力がないとどうしようもない。その点では共働きの方が有利だというわけです。もちろん、自宅と職場が近いとか、子育てを助けてくれる人が身近に存在するとか、条件が整わないと子育てと仕事の両立は難しいかと思います。そうした点について忌憚のない意見を伺えればと思っています。
鈴木: 僕はたまたま京都の街中に住んでいます。6才の子供がいるのですが、大家さんはじめお店の人など、地域のいろんな人にサポートしてもらって育って いる感じがしています。一方で少子化対応として制度的な試みもなされています。子育てのあり方がいろいろと変わってきているように思うのですが、今日はその辺りを具体的にお聞きできればと考えています。まずは順番に自己紹介をお願いします。
瀬渡: 瀬渡章子です。奈良女子大学に勤務しております。子供は二人いますが、すっかり大きくなってしまいまして、上が23歳の息子で下が20歳の娘です。私自身の子育てについては良かったのか悪かったのかよく分からないところもありますが、共働きの研究などもしていますので、今日は、今まさに子育てに関わってらっしゃる人の意見をしっかり聞きたいなと思っています。
小田切: 豊中市に住んでおります小田切真澄と申します。3歳の男の子が一人おります。今はアルバイトで働きながら子供を育てておりますが、将来的には自分のやりたいことを仕事にしたいと考えていまして、「半塾学童」という場を作ろうとしているところです。通常の学童保育ですと5時終了の所が多いのですが、働くお父さんお母さんの現状に合うように7時まで預かる。そして、子供たちは学校ではなかなかゆっくり体験できないこと−例えば料理とか実験とか−も体験できる。そうした活動の場を作ろうとしております。
松村: それはニュータウンの中にですか?
小田切: そうです。地域にある施設を借りて、まず実験的に週2日小学生を夕方あずかることから始めようと思っています。夢としては、こうした活動を続けていって、地域の方から認めてもらい、商店街の空き店舗を貸して頂き、そこを拠点にできればとは思っておりますが、そこまでの道のりはまだまだ遠いという状況です。
加茂: 加茂みどりと申します。大阪ガスで働いておりまして、世代としては雇用機会均等法一期生になります。結婚もせずにずっと働いておりましたが、二年前に結婚しました。ライフスタイル関係の仕事としては、NEXT21という実験住宅の居住実験を担当していました。また、結婚する前から社会人大学院生として京都大学高田研究室にお世話になっておりまして、そちらの方も継続しております。現在は育児休暇中でして子供は1歳の男の子です。ちょうど歩き始めたところで、家では何もできない状態です。実は夫の方もまだ学生をしておりまして、時間の方は融通が利くのでそれでなんとかやっています。
木多: 木多彩子です。現在は摂南大学に勤務しておりまして、中学一年生の女の子と小学校一年生の女の子がいます。一人目が産まれた時には某住宅メーカーに勤めておりました。総合職で入って設計はしていたのですけども、私はまだまだだなって思うところがあったんですね。ですから、子供が生まれてから、がんばって大学院へ入って勉強し直そうと、心を入れ替えたという経緯があります。鈴木先生からは、何か考える前に子供を生んじゃった昔の人のタイプだねって言われてしまいました。
鈴木: 言ってないよ(苦笑)。
木多: 子供が生まれてからは大阪に帰ってきまして、最近まで実家から車で40分程のところに住んでいましたので、いざというときは母に助けてもらっていました。主人は鈴木先生と同僚ですが、いつも帰宅が遅くて、ほとんど母子家庭の状態です。
鈴木・松村: ………。


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