講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.子育て座談会


7.子育ての損得計算

加茂: やっぱり、物事全部を損得で考えるようになってると思うんです。
松村: 全てをね。
加茂: 別に子育てに限らないかもしませんね。そうした損得計算で子育てを考えてしまうとね、損か得かって聞かれたら損にしかならないと思うんですよ。自分で作った方程式にパンパンパンと数値を放り込んでいっても、マイナスしか出てこない。実際に子供を産んでみると、その方程式に間違った係数があったということは分かります。ほらっ、子供って生まれてから3年間で親孝行済ますって言うじゃないですか。子供がたくさんのものを与えてくれるということは産んでからは分かるんだけど、産んでない人にそれを説明する術はないわけですよね。
結局、みんなが自分の方程式をそれなりに持っていると思うんですね。でも、その方程式で計算する限り、やっぱりマイナスにしかならない。だから産まなくてもいいわっていう形になっちゃう。結局、子育て支援の目標について根本的な価値観から変更していく必要があるような気がするんです。子供を育てること自体に価値を見出せない限り、お金をあげるから損してねというサポートの仕方だと、産もうという気持ちにならないんじゃないかと思います。
松村: 確かにそんな気がするんですよね。サポートセンターとかの支援のしくみを税金使って作るから産んでくださいと言われても、そんなもんじゃないでしょ。
瀬渡: 育児手当をすごく出してるところありますよね。だけど子供を大学まで出すのにかかる費用っていくらでしたっけ。何千万とかかりますよね。
加茂: 子供一人に一千万かかるんですよ。
瀬渡: それって標準でしょ。もっとかかる人もいて、それで産まなかったらものすごく貯金ができて、いろんなことができることになる。


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