講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


8.間取りという概念がなくなる

鈴木 家具やエアコンなど居住者が持っている物への対応をきめ細かくやっておられますが、生活全体というかライフスタイルというか、もう少し上のところと住宅の対応について何か気付かれていることがありますか。
小川 ちょうど今お手伝いしているインフィルの方でそれを実践しようとしているんですけど、間取りという概念がなくなるんじゃないかと思うんですよ。玄関があって廊下があって扉があって部屋があってというのではなくて、食べるとこ、寝るとこ、それが何かつながっていたりというか。 それは1LDKなのではなくて、もう間取りとかそういうことを少しずつ超えつつあるんではないかと。

松村 それは室名に代表されるものがなくなるということではないか。建築計画の分野でも議論されていますね。
小川 いかにもここにはダイニングセットをおかねばならない間取りとかじゃなくて、ここで寝る、ここで食する、ここでくつろぐ、ここでワークするとか。家族によってみんな違うんですけど、主寝室8畳とかそういうのではなくて、フリープランの間取りを変えるということでもなくて。 空間の中を自分でシェアしていくというか、ポジションを自分で決めるというか・・・。上手く言えないですけど。

木多 そういうコンセプトは、今作っていらっしゃるモデルルームにも何か反映しているんですか。
小川 私たちがモデルを作るときは必ず「シーン」というのを作るんですね。それはデザインや造作や家具がきれいでしょというのではなくて、 その住宅に引っ越して住んでいる人の名前、年齢、性別、職業まで決まっていて、その生活の一部を切り取ったモデルというものです。 例えばベビーが生まれてベビーベッドがあって、その隣に寝室があって赤ちゃんが寝たらスライディング扉で主寝室なんだけど、 風邪を引いていると一体として使えるとか、そういうものを必ず組み入れたモデルの作り方をします。


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