講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7.ディベロッパーの役割

松村 例えばゼネコンから頼まれて、
ゼネコンの下でやるということはないんですか。

小川
私たちは事業主と直接契約する方針なんです。最初に事業計画を出した時に、「君がやろうとしているのはコーポラティブじゃないの」と言われたんです。 今はある程度パターンがあってちょっと変えられるコーポラティブみたいなのが出ているので境目がなくなってきているんですけど、 やっぱり私の中ではコーポラティブではなくて、民間の分譲マンションの仕事だと考えています。

私ディベロッパーの存在って非常に重要だと思っているんですよ。別にコーポラティブを否定するわけではないんですけどリスクが大きすぎる。 例えば20人がいてみんなが4千万ずつ出し合ったとして、その2年後の生活を誰が正確に予告できるだろうか。 親が亡くなって家業を継がないといけない時、転勤になった時、あるいは20人の中で仲たがいが起こって3人が抜けた時、残りの人が1億2000万を補填しないと事業は前に進まない。 でも途中の工事費も入らないんだったらゼネコンも工事しませんから投資はしたけど宙ぶらりんの状態が続く。 だから私たちはコーポラティブというのは絶対しません。コーポラティブのフリープランのお手伝いはするかもしれませんけど。

ディベロッパーは悪の根源と言われていますけど、そのリスクを負っているわけですよね。20人のうち19人抜けてもやる。担保してくれるわけじゃないですか。 それに対してリスクを背負うだけの利益を取るのはどこが悪いのと私は思うんですね。 もちろんあこぎな作り方とかは良くないですが、でもエンドユーザー、一市民から見て、ちゃんとした技術を持って、 ちゃんとした設計とゼネコンがついたディベロッパーの存在というのは絶対必要だと思っているんです。 これからデザインクラブはどうしたいんだといわれたら、難しいかもしれないけど私はディベロッパーを逆指名したい。


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