講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.デザインクラブに依頼する顧客

小川 難しいのは中立の立場をとっていないといけないということです。もちろんユーザー側のことを考えて、ユーザー側志向の企業でありたいと思っていますが、 あまりそちら側につくと、消費者運動とか、査察官みたいな感じになってしまう。全体計画って絶対平和にいかないと思うんですよ。 だからどちらにも属さないというカタチでバランスをとっておかないといけない。 私たちは事業主からフィーをもらうんだけども、お客さんに雇われたという風な位置づけです。

鈴木 そのフィーはどこにかかるんですか。最終的に売れた戸数ですか、事業全体にかかるのですか。
小川 お客さんのカウントです。標準プランで十分といわれたらうちは売り上げは0です。CADのデータ管理とか最初の準備金を少し頂きますけど。

松村 だいたい標準でいいというのはどういう人なんですかね。
小川 投資目的で買う人。人に貸す人。3、4戸まとめて買う人は変更しない。
鈴木 自分で本気で住まないということですね。
松村 すぐ転売を考えているとかね。
小川 あるいは、家族の様相をなしていないとか・・・。もちろん標準プランもしっかり考えているプランですから、そこで十分だという方はそのままですね。

鈴木 だいたい平均でどれくらいの方が利用されますか?
小川 契約された方の7割から8割です。2、3割の方は標準でいいと。私たちがディベロッパーに営業活動をして、マンション全体一棟まるごとを業務委託をして頂いて、そのうち7割から8割が私たちの対象となるお客さんということです。
松村 自分がまじめに住もうと思っている人はこのシステムがあればかなりの比率で利用するということですね。

4.インフィル設計への展開

小川 お客さんが買う時には和室が6畳ないとと言われるんですけど、それは今までパターン化で刷り込みみたいに見せ過ぎている結果で、 最終的に買った後つめていくと、最初言われた事と全然違うということになるんです。 そこを手伝っているのが我が社かなと思います。それから最近インフィルの設計もお手伝いさせてもらっているんです。 設計事務所が設計する時に、中の間取りのインフィル設計のコンセプト作りをうちがやっています。

松村 それは、住み手が決まっていないもののインフィルだけ設計しているということですか。
小川 はい。エンドユーザーの意見をそれだけ聞いているんだったら、室内空間を生かせるんじゃないのということで、計画としてこれをメニュー展開していって販売されたらどうですかと提案することもやったりしています。あとはそのモデルのコーディネイトで部屋を見せていくといった仕事もあります。

木多 最近マンションの広告でセミオーダーシステムといった言葉があるように思いますが、同業他社というかゼネコンの中でもデザインクラブのような動きというのはあるんですか。
小川 今ゼネコンさんや、インテリア販売とかが、一日だけ間取り設計変更相談日というもので受け付けたり、販売の営業マンがやったりとかというのは出てきています。
木多 それを専業で事業としてやっているところはあまりない?
小川 「一日だけただでやりますわ」というのはありますけど、ISOまで取ってここまでちゃんとお客様の設計変更をやっているのはうちだけだと聞いています。


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