講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6.サービスの基本

小川 もともとこのサービスは全部お客さんの自宅に行って打ち合わせるものから始まったんですね。 ところが事業主がもっと安くしてということで、やむなくお客さんに自宅でするべきことをしてもらって、聞くだけで対応できる簡易ヴァージョンを作ったんです。 本来は家に行かないといけない。お客さんが茶色と言ってもいろんな茶色がありますから。

松村 だいたい打ち合わせ回数って何回位ですか。
小川 簡易バージョンという18万の方が3回の打ち合わせで4回目に販売センターで契約します。 30万のほうは期間内にお客さんの自宅とか指定する場所にこちらから行って打ち合わせしますが、多い時は多いんですけど、平均すると6回?8回くらいです。 年配の人から自宅に来てほしいと言われることが割合あります。 今戸建に住んでいて、駅近マンションに入るので、どれを捨ててどれを持っていくべきか、何回も販売センター行くの嫌だから来て下さいとか言われます。
鈴木 それは今絶対必要なサービスですよね。

西田 担当者は基本的に一人なんですか。
小川 お客さん、この人に対しては私という風に全部担当者が決まっています。 チェックについては、技術の人間、施工図を見る人間、社内の物件担当者、マネージャー、そして最後は私が契約書の立会人として捺印しますから最終的には私がチェックします。 図面を見ればどこがお客さんの誤解を生むかという所もわかります。 入り口の所にコンセントを付けておいてくれと言われても、掃除機のコードが引っかかって倒れて危険だから位置を変えてもらいなさいとか。 扉と扉の有効スペースがぶつかってもいいとお客さんが言っていてもそれでは扉に傷がつく。その時は絶対文句を言わないとサインをもらう。 やっぱりそれは言葉だけでしちゃいけないこととかあるんですよ。

木多 お施主さんにこれできますかと聞かれて「できます」とか言わないんですか。
小川 私たちは安受けあいしたスタッフにものすごく怒るんです。最初にバックオフィスが物件ごとにやるやらないルールを全部決めるんですよ。 契約という非常にシビアな問題が絡んでいるので、言っていい事、悪い事をはっきりさせる。 全部わからないじゃ素人出すなという話になりますから、非常に明快なルールで、これはいいこれは一度検討させて下さいとか、 バックオフィスに帰って来週きちんとお返事させてもらいますときっちりアナウンスする。サービス業の基本ですよね。

もしそれまでに現場に確認しても返事が来なかった場合は、今確認中なんですがどうしても返事が出ておりません。 何日間かお待ち頂けますかとか代案を用意してスタンバイしておく。この仕事って誰かを悪者にしてはいけないんですよ。 ホテルマンといっしょで本当にサービス業なんです。できないと言うのか、そこはできないけど、これならできるという別カードを出すのか、 その辺が私たちにとってはデザインをどうするとかディテールをどうするというよりずっと大事な部分ですね。


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