スウェーデン『住み続ける』社会のデザイン(後編)

 

4) シニア型コレクティヴハウス

 ストックホルム市の住宅供給公社であるファミリエボスターデル社が供給している「人生の後半生のための住まい」という40歳以上の方が入居できるシニア型コレクティヴハウスがあります。ストックホルム市内では10ヶ所ぐらい供給されているのですが、その最初のものがフェールドクネッペンという、93年に建設された公的な賃貸住宅です。これは「人生の後半生」のためのコレクティヴという住まいですが、40歳以上の単身あるいは夫婦世帯が入居でき、子供は一緒に入居できないというものです。狙いはプレ高齢期から共に暮らし、高齢期に至ったときに、お互い助け合いながら、なおかつ社会参加も図られながら居住継続を実現していくというものです。
fig6  入居者51人の年齢層は52〜91歳で平均は70歳。男性11名、女性40名と圧倒的に女性の方が多数です。女性の方がこういう住まい方を好むようで、男性はだいたい奥さんに引っ張られてきたという方です。住戸数は43戸で、1K19戸、2K12戸、3K12戸の構成です。特徴は、住宅の維持管理活動は住民自体が担うということと、もう一つは、これはスウェーデン型のコレクティヴの特徴と言われていますが、平日の夕方は住民みなさんで食事当番になって、みなさんで食事を摂るというコモンミールです。個人の住戸にもこうしたフルスペックのキッチンがあるのですが、こうした共同活動を良しとする方の入居が前提となっておりますので、ほとんどの方は平日夜のコモンミールに参加しているという状況です。これが一階部分の共用部ですが、このようにかなり大きいコモンキッチンとコモンダイニング、コモンオフィス、ライブラリー、リビングなど色々な共用空間が用意されています。 fig7