住生活基本計画の中間取りまとめを受けての
 民間プレイヤーへの期待

【質疑応答・意見交換】

住団連:総合相談やインスペクションのニーズは本当に高いと思います。自治体には、空き家になってしまうと、50代の相続者が離れたところに住んでいるために対処がむずかしく、空き家になる前の対処が必要ということで、司法書士や行政書士、弁護士、建築士などの連携による総合相談窓口づくりに取組んでいるところがあります。しかし、士業の方々へのフィーの問題などから、なかなか進まないと伺っています。
大月教授:私もいくつかの自治体で空き家対策委員長を務めていますが、空き家所有者が「空き家」と呼ぶなと言われることが多いと伺っています。「空き家」という呼び方を考え直したほうがいいのかなと考えています。また日本では一般的に、弁護士にお願いすると何十万もかかるというイメージがあるようです。専門家に頼むときの費用が分からない。空き家に関しても、行政からは、いくらかかるかは業者さんに聞いてくださいとなっているようです。行政とか民間団体が率先して、こんなケースだとこれくらい費用がかかりますという明示が必要だと思います。さらに相談は、特に福祉の分野では、お金はかからないものと思われているようです。高齢者・障害者の福祉や保険などから相談業務に携わる人のお給料がでているようです。お金がどれくらいかかりどう回収するかのビジネスモデルの組み立てが必要ではないかと思います。
住団連:我々も大月先生と同じな問題意識を持っていて、同じ方向を向いているということ確認できたかなと思っています。弊社も政策提言として、住宅の車検制度のようなことを提案しています。これを具体的な政策としていく上で、どこに気をつけながら手伝いしていけばいいのかというところを、教えていただければと思います。
大月教授:車検制度と目指しているところは近いと思います。車検は数年に一度ですが、住宅もせめて25年に一回の棚卸をすることが考えられます。いきなり制度化や義務化をしてしまうと、ハレーションが起きると思うので、その制度を利用した人にはこんな得があるといった、良い事例を積み上げることだと思います。悪い事例はあまりないと思います。評価ゼロのものに下手な再投資をして、災害があって、言った通りだねとなるより、現状は評価ゼロだけど、こういうふうに再投資すれば、こういう収益が上がると考えることができるようになるとおもいます。ブルースタジオさんやR不動産さんは、インスペクションは別にしていますが、近い考えでビジネスを展開しています。住団連さんが音頭を取って、インスペクション団体や金融機関なども参加する横つながりの中で展開することが考えられます。良い事例を積み重ねて、この指とまれ方式で、参加団体を拡げることが重要と思います。
住団連:インスペクションの先には担保価値があり、最初から金融業界を巻き込むことが大事だと考えています。
大月教授:おっしゃる通りですね。住生活基本計画の見直しにおいても新しい金融の仕組みが、論点となっています。住宅そのものと利用価値の両者の評価を行うことに、金融がどこまでついてきてくれるのかが重要な点なので、慎重に進めることも考えられますが、状況によっては早く一緒に進めることも大変良いと思います。
住団連:先日、ある銀行の方と話したときに、自動車のような、残価設定ローンを考えたのだけど、結果的に50年ローンの方が、支払いが少ないということになったそうです。残価の評価が低いために、あまりメリットがないとのことでした。インスペクションが入って、残価をちゃんと設定できれば、流通とつなげることができると考えられます。
大月教授:残価設定も一つの方法ではあるけれど、唯一の方法ではないので、まだまだ改革の余地は多くあると思っています。
住団連:住宅の性能は多岐にわたっていますが、インスペクションにおける重要なポイントは何でしょうか。
大月教授:自動車でいうと「1950年代のこの型はもう無いので、ここを直して市場に出したら高く売れますよ」というようなアドバイスや利用価値を評価書に書いてあげることが重要なのかなと思います。流通Aにおけるインスペクションは、評価書通りに見ていきます。流通Bにおけるインスペクションは、ダメ出しだけではなく、いいところ探しを行います。建物の評価は低いけれど、とてもいい庭があるから、これはいい場所になるはずだとか、そういう部分に、業界をあげて、果敢に挑戦していくことだと思います。