住生活基本計画の中間取りまとめを受けての
民間プレイヤーへの期待
(3) 50代がキーワード
50代がキーワードになります。私自身が50代で、子育ては終わりましたが、時間の何割かを親の介護や医療などに割いています。生産性が下がるのは当たり前です。こういうことを、もうちょっと賢くやればいいのに、なぜ行政の横つながりがないのかなとよく考えます。
東京大学建築学専攻での私達の研究テーマの一つは近居です。名古屋市近郊の郊外戸建住宅団地で近居と家族類型に関する調査を行いました。近居といっても、親に子育てを手伝ってもらうフェーズと、親の面倒を子どもと一緒に看るというフェーズがあって、その境目は50歳から60歳くらい方々ということがわかりました。
さらに東京大学高齢社会総合研究機構で私達は地域評価指標を研究しています。人生100年を支える地域創出を目的に、全国で5千件くらいの大規模調査を行いました。100歳まで住み続けられる地域がどのようなものかを評価する指標(移動・情報相談・住環境・福祉・インフォーマルコミュニティとフォーマルコミュニティなど)が44個くらいあるのではないかと考えて、様々な分野の方々に集まっていただき、議論しています。調査結果で分かったことですが、30代から40代の子育て期で家を買う年代では地域にあまり期待していません。それから歳を取っていくに従って地域への期待が高まっていきます。そして85歳を過ぎると、家の中にいることが精一杯で地域への期待は低くなります。
やはり50代が、今までの人生をシフトチェンジしながら、自分の人生がどうなるのかを不安に思っています。そこの筋道をつけて、日本にはこういうシステムがあるから安心と思える国づくりが必要です。50代が自身の将来にもう一回投資できるような環境を整えていく。
実験住宅として、100年人生対応型戸建住宅を練馬区につくりました。外階段がある家であれば、子供がいなくなってエンプティネストになっても、多少元気だったら上階に住んで、下階を貸したりできるのではないか。長屋として建築確認されております。
(4) ウェルビーイング
今までの日本では、憲法25条による「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に基づき、最低限度のレベルのものをつくって、そこから底上げするやり方でした。これはとても分かりやすかったと思います。一方で憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。これはその人なりの幸福が尊重される、幸福追求権と規定されます。今の日本で深刻な課題となっていることは、幸福追求権を基盤とした、「その人なりの幸福が実感できる」居住環境の実現と考えられます。
国民が公平にウェルになっている状態をつくり出すことがウェルフェアです。ウェルビーイングは、それぞれがウェルを実感できる住環境を整えることです。今、深刻な場面に直面している50代の方々に、どういう形で総合的な居住環境を支援するかが、ウェルビーイングにとても重要ではないかと思います。これからの住宅政策でウェルビーイングが大きなキーワードになり、総合相談支援が重要な役割を果たすものになると考えております。総合相談支援により、人生100年時代にその時々のライフスタイルに適した、豊かで安心した住生活を送るように住み替えやリフォームができ、住宅が多様な世帯や世代に住み継がれるとともに、特に高齢期の住生活を支えるような住宅を資産として活用できると考えております。
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