住生活基本計画の中間取りまとめを受けての
民間プレイヤーへの期待
(2) 新・住生活基本計画
1) リテラシー
私は、2024年度から行なわれている住生活基本計画の見直しにおける、社会整備資本審議会住宅宅地分科会の委員長を務めています。住生活基本計画素案中間取りまとめが、2025年7月30日に発表されました。ここでは、新しい既存住宅流通と、総合相談業務 (住生活支援業務、住生活リテラシー支援業務)が重要なファクターになっていると考えられます。
ハウスメーカーではこれまで営業が最重要でしたが、営業の一歩手前、あるいは営業を取り巻く形で、総合相談業務が重要になっていると思います。「リテラシー」の言葉は今までのところ、住生活基本計画ではあまり出ていませんが、住教育という分野が住宅政策の中にあり、子どもに住宅のことを教えることが主に行われていました。しかし今では大人にこそ、生活リテラシーが重要になっていると考えられます。住生活産業に携わる人たちが手を携えて、リテラシーを底上げするスキームが、今求められているのではないかと考えております。
今の20代の方々は100歳くらいまで生きると予測されています。100年人生を支える多様な住生活の実現と、そのための基盤となる住まい・まちづくりと当時に、ひとりひとりが住生活リテラシーを高める支援が重要と考えられます。
2) 地域戦略
住生活基本計画素案中間取りまとめ(2025年7月30日)の最後で、国土交通省住宅局長から、立地適正化計画などの都市計画で住む場所の誘導を進めることは正しいが、それは空き家や空き部屋の利用を促進することと等価ではないか、住む場所の規制とともに空き家規制を行うべきではないか、空き家とか投資目的にずっと空き家になっていくとか、そういうものを放置してよいのかとの発言がありました。住宅に対して投資する際に、どこに建っていた場合は投資して、どこに建っていた場合は投資しないのかといった、国土計画や都市計画上の議論が残されています。
公営住宅の数が減らされ、HOPE計画が無くなってきて、住宅マスタープランがつくられなくなる中で、市町村の住宅政策に関わる人が自分のところの住宅・不動産や需要の動向をほとんど知らないという状況を色々なところで私も知っています。今後の住宅政策は、住宅のみではなくて、こういうまちづくりを民間と一緒にやろうという体制ができればいいのかなと考えています。これまでは公的賃貸や民賃、戸建て、分譲マンションといったものが個別に議論されていて、建てて売れたら終わりという傾向がありましたが、これからは大量の住宅ストックに対して、色々な住まい方が展開されるようになり、住まい方のマネジメントや、住まうための家のアセットマネジメントが重要になっていると考えられます。
今、団地再生の分野では地域の推進団体を立ち上げようというところが出てきていますが、本来はこういった取組が全国展開すべきではないかと考えています。公営住宅も変わってきていて、目的外使用をもっと柔軟に進めるという議論も出てきます。これによって公的賃貸と民賃と分譲住宅などを合わせて、どういう組み合わせで地域に住んでいくのかという戦略を、地域居住者がつくりやすくなると考えられます。この辺りの公民連携について、特に災害対応が遅れていると考えています。もう一つ重要なことは、住生活支援です。今までは市場原理の補完として公営住宅があるという考え方でしたが、公営住宅での居住支援の現場にコミットできない中、一人一人の生活に寄り添って支援していくというのが非常に重要になってくると思っております。
3) 多拠点居住
多拠点居住というのも非常に重要と思っております。私は今、文京区に住んでいますが、故郷は福岡県八女市で、さらに時々静岡県下田市のまちづくりに伺っており、多拠点居住はDXでできるだろうと思っています。日本全国を住み換えていく基盤をどうつくっていくのかが、重要な方向性なのではないかと思います。
近代以降の日本では、一つの家族は一つの敷地で一つの家に住むという考え方でしたが、空き家が大量に発生しつつある現代では、二地域三地域居住を行う人がいて、それぞれ再投資していただきながら、それが地域の経済循環に寄与するという、多拠点性が重要になると考えられます。日本各地にどういう魅力的な住まい方ができる街、村、都市があるのか、それをどうプロデュースするのか、プロデュースするためにどう再投資させていくのかという戦略的な方法が重要ではないかと考えています。国としては、確保するべき居住環境を示すときに、面積だけじゃなく、医療と就業と住まい、これをセットにした住環境評価というのが必要ではないかと考えています。
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