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松村: |
そうは言っても大変な負担だと思います。自治会長になって3期目のようですが、続けれられる秘訣は何でしょうか?
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板井: |
大学の先輩の存在が大きいです。たけうちまりえさんが2022年に再入居されて、その時から6コアの会計を担当してもらっています。何かあっても二人で笑い話に昇華できるので、つらいと思うことはなくなりました。もちろん、やりたい人がいたらやって欲しいです。ただ私の場合、自治会長だから自治会活動をやっていられると思います。情報共有の仕方にしても資料の作り方にしても、自分のやり方でやらせて欲しいんですね。会計や副会長だと続けられないような気がします。
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松村: |
板井さんに愚痴を言う人も減ってきたのではないでしょうか?
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板井: |
わざわざ話しに来るのは、本当に困っている人が多いですね。目立つのは国籍の違いによるトラブルです。近所づきあいなどは、文化によって異なりますから。もっとも、トラブルが発生するのは挨拶のない住民同士だったりします。挨拶もしたことない間柄だと、何かあると許せないという気持ちになってしまう。それにお互いにネイティブでないので、微妙なニュアンスを日本語にできなかったりします。でも大事なのは気持ちを伝えることですから、言葉でなくて構わない。気が引けているなら「スッってすればいいやん!」とジェスチャー(手を前に出して会釈)の指導をしてます(笑い)。
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松村: |
日本人の住民はいかがですか?
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板井: |
ショッピングセンターのスナックには、日本人の高齢者が集まります。満州からの帰国や防空壕の生活など、そうした方々からリアルな実体験を聞けることもここに住む意味と思っています。大学には平和学を学ぶ講義があって、被爆者の声を毎年聞いてきました。ところが基町に来て、公には語られていないことがたくさんあると気付かされました。住民の愚痴の多くはご近所トラブルですが、そうした歴史的背景が根底にあるケースもあって、当事者同士で話しづらいことがあったりするんです。

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