講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3. 同じ釜の飯を食う
鈴木:  ワークショップ参加者のご飯づくりもコミュニティ大工の役割になるんですよね。
加藤:  食べる物は弁当やインスタントでも構わないんですが、雰囲気が大事なので現場で調理します。つっちーさんが参加すると、午前中いっぱいをかけて準備してくれたりします。もっとも、僕が調理に掛かりっきりになったら現場が進まないので、僕の料理はほぼ煮込みになります。ダッチオーブンを持って行って作業前に具材を放り込む。IHヒーターのスイッチを押して3時間も煮込めば何でもうまくなる。この方法なら仕込みは15分くらいで済みます。
鈴木:  大工道具と同様、炊事道具も常に車に積んでいるわけですね。
加藤:  同じ釜の飯を食うことは、めちゃくちゃ大事で、これがコミュニティ大工の本質的な時間じゃないかなと思っています。実際、ランチや3時のお茶の会話が楽しみで参加している人もいると思います。ちなみに食事の準備というと女性の役割になりがちですが、そうならないように気をつけています。最近はコミュニティ大工仲間の黒木さんも頑張って作っていますし、寅さんの現場の食事もおいしいですね。
鈴木:  キッチンがないと成立しませんね、コミュニティ大工の現場は。
加藤:  ですから現場には初日にキッチンを作ってしまう。とは言え、自分が作業をしたり参加者に工具の使い方を教えたりするだけでなく、全員分の食事を常に準備するのは大変です。この辺りは現場ごとに工夫していて、食事作りは施主の方と半分くらいずつ分担するなどしています。
 
  1. 土橋佐知子さん:広島から鹿児島の本土最南端の地・佐多町郡に移住した。料理が趣味で、郡地区の廃業した店舗に焙煎を行うカフェ開業を目指している。
  2. 黒木裕哉さん:鹿児島県庁職員。鹿児島県庁コミュニティ大工倶楽部の発起人で土日はDIY三昧。
  3. 守友寅次郎さん:設計事務所に18年間勤めた経験を持つ建築士。現在は奥様の敏代さんの実家の鹿児島に移住し、共にコミュニティ大工として活動中。



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