講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.紀美野町での仕事
松村:  空き家を抱えている地域は日本全国にあります。紀美野町に移住者の人気が集まっている要因はどこにあると思いますか。
西岡:  大阪に近いことが一番の理由だと思います。例えば、何かあった場合でも大阪圏におられるお子さんがすぐに来られます。
松村:  紀美野町には幅広い年齢層の移住者がいるとのことですが、お仕事などに特徴はありますか。
西岡:  紀美野町にはパンを販売しているお店が8件あり、その内移住者が経営しているパン屋は3軒あります。それが最大の特徴かもしれません。実際、パン屋業界では紀美野町に店を構えると当たるという評判が立っているそうです。大阪方面からわざわざパン屋巡りにいらっしゃる方もいますし、中には営業が土曜日だけのお店もあったりします。紀美野町のパン屋の草分けは「ドーシェル」というお店で、もともと神戸でパン屋を営んでいた方が移住してきて始めました。パン屋ではありませんが、最近では米蔵を改修した菜食料理とコーヒーのお店が注目を集めています。
西田:  紀美野町のパン屋は関西方面では有名ですよね。マスコミもちょくちょく取り上げています。
松村:  空き家利用で町おこしに成功している場所を訪れると、必ずといってよいほどおいしいパン屋がある。パン屋は町おこしのキーワードなのかもしれません。
西岡:  田舎暮らしの仕事のあり方は4つに分けられると思います。年金生活の+αの収入を得る仕事、都会に通勤する仕事、町内で農業を営む仕事、田舎で起業して店を出す仕事です。例えば、紀美野町の移住者の中には緑花木を生産している方がいます。柿などの農作物とは違って単価は低くなりますが、千本や一万本単位の出荷になるのでまとまった収入は得られます。
紀美野町が雇用の場を作り出しているわけではありませんが、住民が始めた活動を後からサポートするのが行政本来の役割のようにも思います。現在、「地域おこし協力隊」の隊員が2名いますが、移住希望者の起業相談の対応などもお願いしています。




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