講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.家を建てる意味
松村:  家を建てたのは、西田さんのこれまでの人生の中で一番大きい出来事と言ってもいいのかな?
西田:  それをいうとやっぱり結婚ですね。結婚と家を建てることはどうもセットみたいです。結婚って要するに巣作りですよね。夫婦が助け合い、子どもをつくって家庭を築くという方向にどんどん思考が向かっていきました。恥ずかしながらそれまでは子どもはできたらできたでええやんとか、家なんか寝て起きて飯が食えたらいいやんとか、その程度にしか考えていませんでした。でもこの場所をしっかりと家族の拠点にしていこうと思うようになりました。住宅計画というより住居学に近いようなことを真剣に語るようになりましたね。マンションでもいいんですが、そこでしっかりとした巣作りを夫婦や親子でしていかないとだめだと。
鈴木:  ものすごく大きな変化じゃないですか。かつては表参道に住んで遊牧民的な都市生活を楽しんでいましたよね。
西田:  都市で遊牧民的につまみ食いをして…という生活とはきっぱりと別れました。
松村:  やっぱりマンションを買ったんじゃなくて家を建てたということの違いなのかな。
西田:  リノベーションやコンバージョンもいいとは思うんですけど、結局は内装じゃないですか。いじり回しても自由にできる限界はありますよね。やっぱりゼロからやると面白いですよ。家を建てることがこんなに楽しいこととは思わなかったです。
松村:  この話を大きく取り上げてもらえれば日本の新築需要が刺激されるね。
鈴木:  西田さんに説得されて、リノベーション・コンバージョンの砦の松村先生が「やっぱり新築だ」と言えば業界騒然ですよ(一同爆笑)。



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