ライフスタイル考現行


5.インタビュー:東京都出身YSさん(59)

Q08/移住を考えている人へのアドバイス。

沖縄は植物がいっぱいあって、きれいだよ。自然がすごく近いから、海でも山でも、何に興味があっても住んでいられる。そういうのはすごく魅力的よね。でも、沖縄独特の「テーゲー文化」や「沖縄タイム」に馴染めない人は沖縄に住むには厳しいかもしれない。ほんとに時間がルーズ。仕事上でも約束の時間に平気で1時間も遅れてきたりする。それに頭にきて3日で内地に帰った人もいるしね。馴染める人は、かえって内地でいい加減な感じの人かもしれないね(笑)。多少時間くらいって言う人は、ピッタリ。そのへんの文化に、感覚に馴染めないと全くダメ。気にしてもダメ。私も最初はイライラした事もあったけど、「まぁ、しょうがないか、沖縄だから」ってだんだんそれに慣れてくる。私は、何をやるにしてもキチンと時間には始めちゃうから、未だにその感覚には馴染んでいないけどね(笑)。2、3年は内地の人はイライラすると思うよ。あと、儲けたいと思ってこっちに来る人は絶対に無理だね。よほど沖縄の人におもしろいものを提供できる人なら、それで儲かるかもしれないけど、文化的な習慣等でどうしても亀裂ができてしまう。だから、長続きしない人がたくさんいるよ。


Q09/コザの魅力

やっぱりチャンプル文化。それが何ともいえない面白み。それは人だけのことではなく、庭にしろ、植物にせよ、全部混ざっている。だけど、このチャンプル文化は完全に混ざりきってはいない。それらが混ぜこぜになって独自の文化ができるのだったらどこにでもある。混ざったまんまっていうのがすごい。それが、当然のようにできているのがすごいね。これはなかなかできるものでもないよ。誰でもどっからでも崩していけるし、どっからでも踏み込んでいけるっていうのが、この辺のおもしろさだと思う。混ざりきったらその魅力はなくなってしまうと思うね。県内でも、コザ以外の基地がある街は、完全に「基地の街」的な要素。兵隊がいなければ地元の人がやっている飲み屋や飲食店は成り立たない。

でも、ここは兵隊がいなくても成り立つ。兵隊以外の外国人の人もこの街にたくさん住んでいるし。日本語だけでなく、英語もしゃべるし、ドル札も飛んじゃう。「基地の街」っていうのは、飲んでも支払いは円だから、コザみたいな街は他にはないね。

コザに来る人も特に混ぜこぜ文化に魅力を感じて来る人が多いと思うよ。もともと白人や黒人、東洋人がいることに全く違和感がないという人が、この街を気に入って、そのままスっと移り住んでしまう。だからよけいに違和感がなくなっちゃう。すぐこの街の生活パターンになっちゃうし。外人の親子がいても子供と遊んだりしたりするし、一緒に文句を言ったりする。ニューヨークもそんな感じなのかな。格好良く言えば「インターナショナル」だね。


あと、ここのロックはすごいと感じたね。内地では3000円とか高いお金を払って音楽を聞きに行くのに、1杯分の飲み代だけで何時間も楽しめる。400円くらいでだよ。そして、そのロックはガンガン体に響いてくる。これこそホンモノだと思い、最初はかなりハマッていたね。


Q10/復帰以降のコザの様子を教えて下さい。

空港通りなどは地元の女の人が8時頃にお店のドアを開けて派手な格好で立っている。日本人がそこに行っても何も言わない。外人が来るといらっしゃいという。日本人が入る隙間がない。完全に外人バー。隙間のところにちょこちょこと日本語で書いている飲み屋があったので、そこに入った。お酒も当時の島酒は臭くてあまり飲まず、そのかわり外国のウイスキーを飲んでいた。本土のものは高いからね。でもほとんど中之町に飲みに行っていた。そこでもウイスキー。

空港通りでは、通りを歩くと音楽が聞こえてきて、入ってみたいけど怖くて入れなかった。初めて入った時は、ここは外国かと思ったね。JETやセブンスヘブンなども英語でしか書いていないので、観光客も入りにくい。雰囲気が独特のすごいものがあるから、入りたくても通り過ぎてしまうこともあったよ。

今のように内地のお客が増えだしたのは、ここ3年くらいだろうね。昔は、JETも米軍の客しかいなかった。それがホームページをつくり、その様子が全国に発信し始めてから、内地の人が増えてきた気がする。クラブ系はだいぶ前からあったけど、やはりほとんどアメリカ人だった。当時はアメリカ人の女の子も地元の人がほとんどで、内地から来始めたのはせいぜい5年くらい前かな。それまでは内地の女の子などほとんど歩いていなかった。よっぽどもの好きの人や、ロック好きなおじさん(ギンギラのメガネで歩いているなど)が歩いているくらい。歩いていてまさにアメリカだなと思った。


Q11/コザ=恐いというイメージについて。

ベトナム戦争時代は、何ヶ月か戦場に行って帰ってくると開放感にひたる。そうするとやることがめちゃくちゃ。兵隊同士ケンカをしたり、女の子をひっかける、車をつぶすなど、そうとう荒れていた時代、ケンカや事件が耐えなかったので、その当時歩くのは怖いよっていうのはある。今も時々あるけど、それは裏でやっている。表でやるとばれて日本だけじゃなく、米軍の警察官も来て、すぐ連れて行かれる。よほど暗いところに行かなければ。表通りに関してはほとんど大丈夫。ガタイがいい人が多いから怖いという印象は持つんだろうね。今は、米軍では街中を歩く場合服を統制している。簡素できれいな服を着なさいという指導が軍からあるみたいだよ。だから、みんな違和感がなく街にとけ込んでいる。


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