ライフスタイル考現行


3.インタビュー:埼玉県出身MSさん(46)

Q08/移住を考えている人へのアドバイス。

ここ最近、若い子が沖縄に来るのも、何をしたらいいか分からない、もしかしたら沖縄に行ったら何かあるのかもしれない。そう思って、何も知らずに来ている人が多いのでは。沖縄に来た人の中には、ここが私の追い求めていた土地だって思って来る人がいる。一回も来たことがないのにイメージやマスコミに乗せられて来ちゃう。そう思い込んだものの、実際住んでみて当然こんなはずじゃなかったって思うのよね。そういう人を何人も見てきた。結局、その土地に拠り所を求めるのではなくて、自分のいる場所で何かをみつけるしかない。環境を変えたから何か見つかるわけでもないしね。

あと、沖縄は排他的。でも、一般的には受け入れないけど個人的には受け入れるっていうところがある。その中で、沖縄の人と仲良くなれる人は暮らしていける。沖縄の輪の中に入っていけない人は排除されていく。だから移住した人でもどっちかに分かれる。うまく入っていけない人だと生活をするのはきついかも。いつまでたってもヨソ者扱いされ、ここが最終地ではなくなるだろうね。そういうことも考えてからきた方がいいと思うよ。

沖縄は、元々持っている文化が違うから100%理解しようと思っても無理。それに、本土での考え方や常識を持ち込むと沖縄にはなじみにくいと思うよ。沖縄に移住する前に、沖縄の文化や習慣を知っておく必要があるね。だから、急に荷物をまとめてこっちに来るのではなくて、まずは、できるだけ長く滞在してみた方がいい。旅行では見えない部分がわかるからね。沖縄式にアレンジすることが大切。その上で隙間を埋めるような仕事を見つけたら、沖縄の人にも受け入れられる


Q09/コザの魅力

インパクトを受けたのは音楽。まず面白いと思ったのは「りんけんバンド」。聞いていても、言葉はわからない、歌の意味がわからない、唄うリズムが違う。でも、沖縄の辞書を買ってでも唄ってみたい。そんなところはあった。それと、ロック。「JET」を知る前に夫がよくJETメンバーのジミーさんに間違えられてね(笑)。ここに来るまで、ロックはほとんど知らなかったけど、そういうこともあって、「JET」のライブハウスに行ってみたら、演奏しているのがみんなオヤジ。観客は若い外人と交ざって、オバちゃんがノリまくっている。どう見ても私より年上だよなぁーって。リタイアしようと思ってこっちに来たわけでしょ。後は若いみなさんに任せて私は一線から身を引いて、のんびりしますって思っていたのに、なんだこの街はって。どうして、私らより年上の人が青春しちゃっているのって。強烈な印象を受けて、ショックだったよね。そしてここは不思議なところだなって思った。この光景を見たら、リタイアなんてやっている場合じゃないかもって。一生現役って言うミュージシャンもいるしさぁ…。それに、コザ周辺の自治体の祭りでかならずライブイベントをやる。民謡も出るがロックもでてくる。自治体系のお祭りでロックをやるのは本当に珍しいことだ。その場に子供がいれば、民謡を踊るオジィやオバァもいるが、彼らはロックをちゃんと聴いている。いい音楽であればジャンルを問わずすんなり受け入れている。すごいところだよね。コザに出会ったのはおもしろいよね。違う地域では、いわゆる田舎暮らしのような沖縄での暮らしをしていたから、そういうものは何も見ていなかった。コザは全然別だよね。本土の人は、沖縄市自体知らない人が多い。沖縄のことをよく知ったら沖縄市がいいなって思うかもしれないもし、コザがなかったら、沖縄が嫌になっていたかもしれない。

観光客も沖縄に来たらコザに来ないともったいないよね。ビーチにばっかり行っていたら損だよ(笑)。でも問題なのは、沖縄市は仕事がないからね。サラリーマンがほとんどいないし、なりたがる人が少ない。男の人も身勝手で、自分の好きなことをやっちゃうから、活き活きと音楽活動ができる。男の人が自由に暮らせるとこでしょうね。だから、生活をするために、男も女も独立鉄砲でやるしかない。普通、男の人は家庭を責任もって守ると、我慢しないといけない部分も出てくる。でも、ここではそうではない。でも、そのどっちが人間として正直に生きているかっていえば、たぶんこっちでしょうね。男も女も今は生き方が難しい時代になったよね。


Q10/ホームステイハウス運営について。

沖縄に来る前からそういうことはしていたからね。アジアの交流会などを開いて、若い人たちと出会う機会が多かった。他人がいつもいて、年齢関係なく遊びに来る。そんな家だった。だから、人がいつもいるのが当たり前。夫もそういうのが嫌いじゃなかったし、他人がいる生活をしていた。沖縄でやり始めたのは、DVを受けたある沖縄の子をかくまったのがきっかけ。今までは個人的に知っている人を泊めていただけで、インターネットなどに出したりはしていなかった。でもこういう場所があってもいいんじゃないかなって思って。家の中でごちゃごちゃあっても、表には出せず、身内には言えないという人が多かった。DVの受け入れは全国40ヶ所。沖縄には一つもなく、沖縄こそ必要じゃないって思った。でも、費用がかかるので、ステイという形で運営費を出して人を受け入れられる状態にしようかなって思った。だから、利益目的ではないね。ステイだけで生活をしようとは思わなかったし、実際のところ絶対無理。自分の本業があって、夫も仕事があるから成り立つ。このシェルターは、単にDV被害者の駆け込み寺っていうよりも、人生に疲れて、違う環境に行きたい、休みたい、そんな人の逃げ場の一つになればいいなっていう意味も含んでいる。

だからホームページもわざと硬く作っているから、バックパッカーは来そうにないでしょ。沖縄に多いゲストハウスとは少し違う感じだね。
ここに来るゲストは観光目的の人はほとんどいない。失恋や、離婚でトラブッてしまったとか、人生をやり直したいんだっていう人がいる。友達や家族には言えない悩みでも、こういうところで出会った人は背後関係がないから平気でいろんなことが言えちゃう。そこから、いい友達になっていったりするんだよね。話を聞いてくれる人がいるっていうのはいいことだし、悩みを抱えてここに来た人と縁が切れたっていうのはとてもいいことだよね。自分で人生を歩き始めたのだから。いつでも何かあった時にここにおいで。そんな場所があるだけで心強いでしょ。維持し続けることに意味があるから、面倒だから運営するのをやめるっていうのは今更無理だね。それに、いろんな人が泊まることで、いろんな知識が増える。



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