講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


9.街中の本屋のこれから
石井:  アメリカの本屋で印象的だったのは、新刊本と古本が一緒に並んでいたことです。街中の本屋が本の社会的な循環を担っていくなら、それが当たり前の姿だと思いました。ですから古本を扱いたいという気持ちは最初からあって、オープン1年後くらいに古本のイベントを開きました。その時は、近くの木工作家や飲食店や養豚業の方に、売りに出す本を選んでもらいました。
松村:  石井さんじゃなくてその人たちが選んだんですか?
石井:  本棚には人となりが出ます。お店では分からない店主の人となりを見ながら本を選ぶのは、きっと楽しいだろうと思ったんです(笑い)。
鈴木:  色々とイベントを開催されているようですが、どれくらいの人数が集まりますか?
石井:  平均すると20人くらいです。一番印象に残ってるのは、絵本作家の方にライブペインティングをしてもらったイベントです。壁に大きなパネルを張って絵を描くライブをやってもらったら、子供たちがたくさん来てくれました。その後のサイン会も結構集まって販売的にも好成績でした。これまでは大人向けトークイベントが多かったんですが、この時は全部で80人くらい集まりました。
松村:  意外と大きな力を絵本は持っていますね。
石井:  もっと街の人が来やすい場所にしていきたいと思っていますが、お客さんが常に集まるようになるには段階を踏む必要があります。今後は古本販売も手掛けて、本の循環の拠点になりたいと考えています。蔵書を持て余している方々に協力してもらいながら、眠っている本をセレクトして若い世代へ橋渡しできればと思っています。





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