「食」。朝、昼、晩、朝、昼、晩・・・と全人生に亘って繰り返すのだから、人々のライフスタイルを考える上で絶対にはずせないテーマだ。今回は手始めとして現代女性同士の「共食」と、調理を通じた家族関係についてお話を伺ったが、どちらもライフスタイルと住まいの関係に展開できる内容を含んでいて興味深かった。
今更こんなことを言うのも変だが、私自身このHPを企画・運営してきてずっと確信を持てずにいるのが、果たしてライフスタイルと住まいの間に何か重要な関係があるかということだ。もちろん、どこに誰と住むのかは個人のライフスタイルを決定付ける要素だが、よく住宅メーカーやマンション・ディベロッパーが住宅内の空間構成や仕様に関連付けてやるような「ライフスタイル提案」のようなものはかなり眉唾だと思っていた。極端な言い方をすると、多くの人にとって、他者から提供される住宅の間取りや仕様等と個人のライフスタイルとは全く独立した事象ではないかとすら思ってきたのだ。
しかし、今回のテーマである共食や家族参加型調理は、それが住宅内で展開され、住宅内だからこそ面白くなり得、尚且つ誰にでも必須ではなく選択的な行為であるだけに、提供される住宅の内容との関係を意識して語り得るライフスタイルの存在を予感させるものだと思う。当面このHPも「食」からは目を離せない。
(松村秀一)
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