講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


1.友人との共食で子育て期を楽しく


 2.共食の実態とその作法

アンケート結果によると、自分の家に友人を呼んでお母さん仲間で共食を行っているという人が約8割を占めています。もちろん、この割合は就業形態によって異なっていまして、専業主婦は8割強ですが、パートタイマーの方は7割、フルタイマーの方はさらに減って6割になります。もっとも、フルタイマーで6割というのは、意外に多いなという印象を私は持ちました。

共食には呼ぶ場合と呼ばれる場合とがあるわけですが、ほとんどの場合は両方がセットです。8割の方はお母さん仲間を自宅に呼んでいますが、呼ばれるだけと答えた方も数%いらっしゃいまして、両方を合わせた共食をしているという人の割合は85%でした。家に呼ぶ頻度ですが、お茶だけの共食は月に1,2回の場合が最も多く、食事を出す場合はもう少し頻度が減ります。もちろん、呼ばれる共食もありますから、およそ週1回か2週間に1回程度は共食をしているという結果です。

共食をする理由については、やはり圧倒的に多いのが「大人同士で話をしたい」からです。2番目に多い理由は「子供を遊ばせたい」ですが、その次からは「自分が楽しみたい」、「気晴らししたい」が続きまして、共食の動機が自分自身のためであることが分かります。また、外食でなく自分の家に呼ぶ理由ですが、約8割が「ゆっくり話せる」を選んでいます。その次に「子供を安心して遊ばせられる」、「子供が汚しても安心」といった子供に関わる理由が続きまして、その後に、外食に比べて「費用がかからない」ことが挙げられていました。また、子供の年齢が小さい場合は、やはり家での共食が多くなる傾向が見られるようです。



多くの場合、共食は平日の昼間に三組の母子を呼んで行われています。ヒアリングによると、これはダイニングテーブルが4人掛けだからでしょう。この写真は冒頭に紹介した方の共食の様子ですが、この時は幼稚園が午後まであったので母親のみでの共食になっています。また、子供が小学生になりますとお母さん同士で共食を行うことが次第に増えていきます。

呼ぶ相手としては、子供同士の「幼稚園・小学校が一緒」、「自分の学校時代の友人」、「家が近所」などが主な対象です。こうした身近で同じぐらいの子供のいる人を呼んで、お茶の場合は2時間40分、食事の場合は4時間50分をかけて共食が行われます。11時頃から始まり4時頃まで、五時間近くを食べたりおしゃべりをしたりしているわけです。

誘い方ですが、2年前の調査なので電話が圧倒的に多かったですね。もっとも、今はメールも多くなっていると思われます。また、幼稚園の送り迎えのときにお母さん同士が「今日いらっしゃらない」などと声をかけることもあるようです。誘い文句を自由回答で書いて頂いたところ、「一緒にご飯食べよう」、「ご飯作るからいらっしゃいよ」、「ケーキあるけどくる?」、「お茶会するけどこない?」、「家で飲まない?」などが代表的なものでした。先ほど紹介しましたように共食は平日に行われることが多いのですが、土日に旦那さんも交えた夕飯になることもありますので、こうした場合には最後のような誘い文句も出てくるのでしょう。

「おいでよ、暇だから」とか「遊びにおいでよ」という誘い方も見られましたが、「話さない?」や「話したいことがある」という直接的な誘い文句はありませんでした。本当の目的は友達と話すことですが、表面的にはご飯やお茶を目的として友達を呼んでいる。つまり、食を媒体として友人とのコミュニケーションを図ろうとしていることが分かります。

この事例の場合、食べ物は持ち寄りです。この写真ではみんなでラザニアを作っていますが、新聞に載せる写真を撮ると言ったものですから、張り切って下さったようです。テーブルの上にもランチョンマットや高級な食器が登場していますが、子供が小さくて危ないので普段はそんなことはありません(笑い)。



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