まちづくりと高齢化

 

(5) 柏ビレジでの試み 〜 大学との共同研究より

 UDCK (柏の葉アーバンデザインセンター) には、東大や千葉大、地域の皆様が使えるコミュニティルームがあります。そちらで、東大・千葉大の学生と柏ビレジ居住者で、分散型施設の機能をネットワーク化する仕組みの検討を行いました。
 宮脇檀さんのマスタープランによる緑豊かな環境、レンガ塀などは柏ビレジのシンボルとして、住民の方々の誇りとなっています。しかし開発から約30年が経ち、柏ビレジに住んでいる人、周辺環境などは開発時かから大きく変化しています。空き家の増加、コミュニティの崩壊、バスの便数の減少、商業施設の撤退など様々な問題が浮き彫りとなってきています。
 検討・提案したことは、空き家はあちらこちらに分散して発生しており、それをネットワーク化して、1つ1つに機能を付加し、日替わり公共施設やコミュニティダイニングなどに使うということです。
fig3  また交通面の課題については、モビリティを用いた地域圏再生として、「たなカー」(モバイル施設) や「ぷらっと」(小さな公共施設) を提案しています。住んでいる場所を動かせないのであれば、レストラン・カフェ・病院・スーパー・郵便局・図書館といった機能の方を動かして、日替わり・週替わりにまちを循環するというものです。
 大学と共同研究を行うと面白い発想が出てきます。そして研究のレベルで終わらないよう、柏ビレジの中での実証実験として、移動カフェを実施しています。人が集まって、初めての人同士でお話ができる、ちょっとした場づくりが大事だと考えています。
 コミュニティダイニングも、空き家を利用して、500円くらいの金額で高齢者が気軽に食事に来ると場を、昔の銭湯くらいの密度で点在させていくことを考えています。非営利で運営する中で、地域の雇用も促進されます。